楽行

すずめの戸締まりの楽行のネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

よかった!

でも、と思う所がある。

そこを、冷静に分析したいと思う。

まず、フィクションの嘘と嘘っぽい嘘がある。

フィクションの嘘とは、
ねこがしゃべる、みみずみたいな巨大な生物が地震を起こす、椅子が走り出す。

これは、物語だと、あまり気にならない。

では、嘘っぽい嘘とは何か。

たまたま、追いかけている猫がSNSやテレビに出て人気になる。

1人乗りのバイクで、2人分のヘルメットがある。

たまたま、行きたい場所に誰かが連れってくれる。

廃墟の遊園地の電気が通っている。ピンチになって面白くなる。

という、都合の良い展開に、
私はスンとなる。

バス停で、1人でいる女の子に、私は、声をかけない。

車にも乗せないだろう。恐らく通り過ぎる。

そう思うと、私はひどくひどい人間に思えるのだ。

そして、スンとなる。

という気持ちを置いておいて、ふるさとが宮城の私は、この映画を見て、胸にくるものがあった。

人間とは、ひどい生き物で、破壊されたものを見ると、写真に撮りたくなる。

君の名はの、流星によって、多くの人が亡くなるが、関係ない人には美しいものだった。

誰かにとって善でも、誰かにとっては悪かもしれない。

新海監督は、背景というよりも、空間に対する、問いを持っているのかもしれない。

今回は、扉を閉める話だったが、扉とは、開けてもいいし、閉めてもいい。

忘れてもいいし、忘れなくてもいい。

深く傷ついた人に、自由を与える優しさよ。

ラストシーンにおける、行ってきますといってらしゃいの尊さを再確認させたのは、一種の発明と言える。

次回作で、期待するのなら、日本と海外の話が見てみたい。

戦争が、身近になった今、新海監督は、世界という空間をどうみるのか。

次回作が楽しみである。
楽行

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