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すずめの戸締まりのキッチャンのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.8
『すずめの戸締まり』(すずめのとじまり、英: Suzume)は2022年(令和4年)に公開された日本のアニメーション映画[8][9][10]。脚本・監督は新海誠。日本各地の廃墟に点在する災いの出口・“扉”を閉じていく少女の解放と成長を描くロードムービー[8]。

ストーリー
宮崎県の静かな町で叔母・岩戸 環(いわと たまき)と暮らす17歳の女子高校生・岩戸 鈴芽(いわと すずめ)はある日夢を見る。一人の幼い少女が廃墟も立ち並ぶ草原の中をひたすら歩き、母を探すも見つからず疲れ果て蹲る。そこに一人の女性が歩いてくる。その女性を少女は見つめるがその瞬間鈴芽は夢から目覚めてしまう。

2023年9月25日[注釈 1]。鈴芽は青年・宗像 草太(むなかた そうた)と登校中すれ違う。鈴芽は彼が気になり通学路を引き返し後を追い、山中の今は廃れたリゾート地にある廃屋で水溜りの中に佇んでいた一つの古い扉を見つける。鈴芽は何かに引っ張られるように扉に手を伸ばし、引き込まれる。その扉の向こうの世界には、広い草原と全ての時間が混ざりあった空があった。鈴芽はその世界に驚愕し足を踏み入れようとしたが何故か世界に入れず、足元にあった猫の形をした石を見つける。好奇心からその石を持ち上げると白い猫に姿を変え逃亡し、それを見た鈴芽も堪らずその場から去っていった。

鈴芽がようやく登校し友人らと昼食を取ろうとした時に窓の向こうの山から煙が登っているのを目撃するが、彼女以外誰にも見えていなかった。その時緊急地震速報のアラームが教室中に響き渡る。揺れは直ぐ収まったが鈴芽は煙が赤黒くなり空へと登っていくのを目撃するもこれも彼女以外誰にも見えなかった。堪らず彼女は再び廃屋へと向かうがそこには必死に戸締まりしようとしている草太の姿があった。彼は鈴芽に警告するも煙のようなものの勢いに押され吹き飛ばされる。鈴芽は駆け寄るが地中から金色の細い糸が現れ煙に付着すると煙が倒れ町中を再び地震が襲う。落下してきた鉄骨から鈴芽を庇い怪我を負いながらも草太は再び戸締まりしようとし、そこに鈴芽も加わる。草太が何かを唱えたその時、幾つもの温泉街が繁栄していた頃の人々の声が鈴芽の耳に入り二人は戸締まりに成功する。

その後怪我した草太を介抱するため鈴芽は家へ向かう。彼は『扉』を探して締めることで、要石で封印していた日本列島の下をうごめくミミズの暴走を防ぐべく仕事をしていたことを伝え互いに自己紹介を済ますと痩せた白い猫が再び現れる。鈴芽が餌を与え「うちの子になる?」と話すと「うん」と人間の言葉で返す。更に「すずめ、優しい、好き」「お前は、邪魔」と話した瞬間、草太は鈴芽がまだ幼い頃に使っていた三本足の椅子に姿を変えられてしまう。二人は驚き草太は白い猫を追い二階の窓から飛び降りる。続けて鈴芽も追おうとすると彼女が心配で帰宅した環と鉢合わせになるが鈴芽は急いで向かう。彼女は通行人らの注目を浴びながら白い猫と草太が乗船したフェリーに乗船する。草太は猫と対峙するも猫は巡視船に飛び移り逃げられてしまう。

フェリーで一晩を過ごした鈴芽と草太は愛媛に到着したのちに猫を探す。猫は各地で人々の注目を集め、SNS上では「ダイジン」というあだ名を付けられていた。一方、鈴芽と草太は道中ですれ違いざまに原付から落ちたみかんをキャッチしたことで、民宿で働く海部 千果(あまべ ちか)と出会う。千果と会話をしている最中に二人は再びミミズを目撃する。千果の協力も得て二人は後ろ戸がある中学校に辿り着き後ろ戸を締める。その後千果の民宿で一晩を過ごし別れた二人はダイジンを追うため、ヒッチハイクをしようとしたが中々うまく行かず、さらには雨も降り始めたことからバス停に向かう。そこへ立ち寄ったスナックのママ、二ノ宮 ルミ(にのみや るみ)と出会い、彼女の助けを得て神戸へと向かう。ルミの子どもたちの面倒を見ながらスナックの手伝いをしていたが席に座っていたダイジンを目にする。追いかける道中でまたもミミズを目撃し、二人は後ろ戸がある廃れた遊園地に向かい、草太はダイジンを捕らえようとタックルするが遊園地の電源が作動し鈴芽は観覧車で落下しそうになりながらも奮闘するが窓から再び夢で見た光景を目にして触れようとする。その様子を見た草太は急いで彼女の元に向かい呼びかけ、鈴芽は気を取り戻し観覧車の後ろ戸を締める。その後ルミのバーで一夜を過ごし駅でルミと別れる。

二人は東京に到着し草太のアパートへと向かい部屋で様々なミミズに関する文献を読み漁っていた時、草太の友人の芹澤 朋也(せりざわ ともや)と出会うが小さな揺れが襲い、鈴芽は部屋の外に出ると近くで動いていたミミズの姿を目にする。彼女と草太は急いで後ろ戸の元へと向かうがダイジンも現れる。二人はダイジンを追い、後ろ戸は地下にあることを知るがその時再び揺れが襲い、東の要石も抜けてしまったことに気がつく。一人でミミズに飛び乗った草太の後を追うように鈴芽もミミズに飛び乗り、二人は東京上空に上昇する。ミミズは空へと高く登り始め、やがて広がっていき東京の上空を覆ってしまう。そしてダイジンと対峙した二人はダイジンに説得するもダイジンは草太に「かなめいしはおまえだ」と伝える。草太は段々凍りついて行き要石と化してしまう。その様子を見た鈴芽は涙を流すがミミズが地面に向かって落下し始め、要石になった草太を刺すしかないと悟った鈴芽は要石をミミズに突き刺す。ミミズは爆散し鈴芽は空から落下するがダイジンがすずめを守る。地下ですずめは後ろ戸の向こうの常世でミミズに刺さっていた草太を目撃するがやはり常世には入れなかった。そこにダイジンが鈴芽の元にすり寄るが彼女はダイジンを拒絶する。ダイジンはみるみる痩せていき何処かへと立ち去る。後ろ戸を締め、地上に出た鈴芽は草太の育ての親であり閉じ師の師匠でもある祖父の宗像羊朗の入院している病院へ行き、常世へ入る方法を聞く。草太を助けに行くことを決意し草太の部屋で身支度し出発すると御茶ノ水駅前で芹澤に声をかけられそこに鈴芽を迎えにいくために来た環も鉢合わせする。更にダイジンも乗車し一同は東京を発つ。

一同は道の駅大谷海岸に到着する[注釈 2] 。彼女を心配していた環は鈴芽と口喧嘩をする。鈴芽とダイジンは側にいた巨大な黒い猫に気付く。猫は「サダイジン」と名乗りダイジンは応戦するも咥えられる。一同はサダイジンを載せ実家へと向かうがオープンカーが道路を逸脱し、走れなくなってしまう。それに焦った鈴芽は二匹と実家へ走って向かい、環も廃棄されていた自転車を見つけて後を追う。鈴芽達は今は無き実家の跡地に辿り着く。近くを掘り「すずめのだいじ」と書かれた缶を見つけ開き、日記帳を見つける。開くと3月11日からページが黒く塗りつぶされていたが最後のページには夢で見た光景、そしてかつての彼女を常世へと導いた一枚の扉が描かれていた。彼女は扉を探しダイジンに声をかけられ、後を追うと草木に覆われた今は錆びた扉を見つけ、ダイジンはこれまで後ろ戸のある場所に案内していたことに気づいた鈴芽はダイジンに礼を言い、元気を取り戻したダイジン、サダイジンと共に常世へ向かう。

常世へと入った鈴芽とダイジン、サダイジンは再び扉から抜け出そうとするミミズを目にし、サダイジンが巨大化して応戦する。鈴芽はダイジンと共に要石と化した草太の元に駆け寄り抜こうとするも抜けずダイジンも加わり必死に抜こうとすると鍵が光り草太の声を耳にする。鈴芽は完全に凍りつきかけていた草太を救い、そして要石を引き抜いたのだった。鈴芽はようやく草太と再会するがダイジンは力尽き「鈴芽の手で 元に戻して」と話し要石へと姿を変える。草太は祝詞を唱え、鈴芽は人々の声を耳にする。サダイジンの手により空中へと転移した二人はミミズの先頭に要石を突き刺す。ミミズは倒れやがて草木が生い茂った丘へと姿を変える。燃え盛っていた周辺も広い草原と化していった。

その後鈴芽は、常世に迷い込んだ幼い鈴芽を見つける。母を探す彼女に、かつて夢で見た白い服の姿で駆け寄り諭すが、幼い彼女は諦めず泣きながら母を探そうとする。鈴芽は幼い彼女に再び諭す。幼い彼女が「お姉ちゃん、誰?」と問うと鈴芽は「私は、すずめの、明日」と答え、三本足の椅子を託す。幼い彼女は扉から出ようとし振り返ると、その丘には一人の女性と男性が見守っていた。全てが終わり二人は常世から帰還し、鈴芽は「行ってきます」と呟き扉を締めた。その後草太と別れ、鈴芽は、草太と辿った道を環らと辿り帰路につく。

戸締まりの旅から数か月後の、ある2月の朝。鈴芽は登校中に草太とかつてすれ違った通学路で彼女に会いに来た彼の姿を見つける。そして鈴芽は「おかえり」と話しかけ、微笑んだのだった。

登場人物
岩戸 鈴芽(いわと すずめ)
声 - 原菜乃華[11](幼少時代:三浦あかり)[12]
本作品の主人公。2006年5月24日生まれ[注釈 3]。出身と故郷は岩手県宮古市赤前地区。宮崎県の静かな町で叔母の環と2人で暮らす17歳の女子高校生[11][注釈 4]。4歳の頃に母親を亡くす。脚が一本欠けている椅子(母の形見)を大切にしている。
宗像 草太(むなかた そうた)
声 - 松村北斗(SixTONES)[13]
「閉じ師」として日本各地の扉を閉める為に旅をしている青年。2002年2月24日生まれ。ある廃墟に向かう途中で鈴芽と出会うも、後にある出来事によりすずめの椅子に姿を変えられてしまう[14]。家業である閉じ師とは別に、父に憧れて教師を目指しており、教育学部に在籍している。寝相と寝起きは悪い。
ダイジン
声 - 山根あん[15]
人間の言葉を話す白い子猫の姿をした神獣。扉が存在する場所に現れては鈴芽たちを翻弄する。街の人々から白くもっさりと蓄えたヒゲが昔の大臣のように見えることから「ダイジン」と名付けられており、以降鈴芽達からも呼ばれている。
幼い子どものような無邪気で気まぐれな性格。実はすずめが最初にたどり着いた廃墟の後ろ戸を封印していた西の要石であり、何も知らないすずめが引き抜いたことによって、猫の形を象った石から元の姿に戻って逃げ去ってしまう。やせこけた姿ですずめと再会した際に彼女から親切にされ「うちの子になる?」と声をかけられた嬉しさからすずめに懐き、傍らにいた草太を邪魔ものとみなして呪いをかけすずめの椅子に姿を変えてしまった。怒った草太に追いかけられると同時に逃げ出し、後を追うすずめたちをその先々で開いていく後ろ戸へと導いていく。
草太の家にあった閉じ師の古文書には、江戸時代に白要石になった者についての記述がある。それによると、先代の白要石がミミズに敗れて消えたために寅の大変が起こり、その際に大和国の三輪山で震災遺児となった子どもが、当時の閉じ師に自ら申し出て、『白き右大神』と言われる新たな要石となったという。
岩戸 環(いわと たまき)
声 - 深津絵里[16]
漁協で働く鈴芽の叔母で椿芽の妹。1982年7月12日生まれ。宮崎弁を話す[注釈 4]。鈴芽がまだ幼い頃から二人で暮らし、母親を亡くした鈴芽を引取り育て上げるが、非常に過保護な一面があり、鈴芽には反発されている。
岡部 稔(おかべ みのる)
声 - 染谷将太[16]
漁協に勤めている環の同僚。環に片想いしているが告白はしていない。
二ノ宮 ルミ(にのみや るみ)
声 - 伊藤沙莉[16]
神戸市在住の関西弁を話す双子の母でありスナック「はぁばぁ」のママ。鈴芽がダイジンを追って(神戸に向かって)愛媛のバス停でヒッチハイクしていたところ、コンパクトミニバンで通りかかった。
海部 千果(あまべ ちか)
声 - 花瀬琴音[16]
鈴芽が愛媛で出会う同い年の活発な少女。伊予弁を話す[17]。千果が愛媛県新居浜市の新居浜ナンバーを取り付けた原付二種のオートバイから落としたみかんを草太と鈴芽がキャッチした縁で仲良くなる。家族経営の民宿「あまべ」で働いている。鈴芽の宿泊や食事を世話した上、別れる際に制服では目立つから、と私服を譲る。鈴芽と草太(椅子の姿)の愛媛で扉を閉じる学校は、千果の昔の中学校であり、土砂災害で廃棄された、と言う。
岩戸 椿芽(いわと つばめ)
声 - 花澤香菜[16]
鈴芽の母親で環の姉。故人。幼い鈴芽にDIYで椅子を作りプレゼントする。看護師だったが、鈴芽が4歳のときに帰らぬ人となってしまう。1977年3月10日生まれで、2011年に34歳の誕生日を迎える。
芹澤 朋也(せりざわ ともや)
声 - 神木隆之介[18]
草太の友人。愛車は中古車で大石という先輩から安く買えた赤色のアルファロメオ・ジュリア似のコンバーチブル。2002年(リテイク版では2001年)7月6日生まれの芹澤家長男。教師を目指しており、立教大学教育学部に在籍している[注釈 5](なお、立教大学に同学部は実在しない。文学部教育学科はある)。口は悪いが、草太を心配するなど友達思いな性格。喫煙者。
宗像 羊朗(むなかた ひつじろう)
声 - 松本白鸚[16]
東京の病院に入院中の草太の祖父であり、「閉じ師」の師匠。2011年の震災時、自分の右腕と引き換えに東の要石(サダイジン)を東京の後ろ戸に刺した人物。
ミキ
声 - 愛美[19]
スナック「はぁばぁ」のアルバイト。彼氏はいない。
絢(あや)
声 - 不明
鈴芽のクラスメイト。黒いボブ。
マミ
声 - 不明
鈴芽のクラスメイト。茶色いロングヘア。
花と空(ハナ、ソラ)
声 - 不明
ルミの子供で双子の姉弟。託児所が休みになり鈴芽が面倒を見ることになる。車内で飲み物をこぼしそうになった際、すかさず動いた椅子を怪しんでいた。
絹代(きぬよ)
声 - 不明
コンビニのオーナー兼大家。訪ねた鈴芽に草太の部屋の鍵を渡す。
サダイジン
声 - 山根あん
ダイジンと同じく、身長を自由に操ることができる。ダイジンと対象的に巨大な右目の周りが白い黒い猫の姿をした神獣。戦闘時にはさらに巨大化し、体毛が白くなる。その正体は東の二つ目の要石。
その他
声 - 上田燿司、永田亮子、住友七絵、今津心之介、世戸さおり、綾瀬有、八百屋杏、木村悠里、田島章寛、春海ひなの、渡部珠恵、西村知道、青山吉能、浅川暦、吾妻奎太、阿部碧音、阿部有紀子、伊藤彩沙、伊藤亜祐美、稲田壮真、上杉夏穂、上田佳耶、宇津宮千穂、梅田修一朗、越後屋コースケ、及川みなみ、大南友希、岡井カツノリ、小川海斗、小澤柚月、小田島洸、小畑穂奈美、風河駿、片桐羽琉、神谷龍翔、亀山歩夢、萱間円佳、川口桜、観世智顕、菊池康弘、城戸智晶、城戸まどか、木南亜莉沙、黒田蓮、合田慎二郎、古賀英里奈、小菅聡大、小林咲花、小林都、酒井美沙乃、坂本悠里、佐々木祐介、篠倉梨玖、清水川鉄平、下浦和華、下向井勇真、首藤志奈、東海林瑠芽、鷲見昂大、住田将太、空見ゆき、高橋伸也、武田太一、竹村麻帆、田中那実、近田球丸、千春、月嶋真弓、辻あゆみ、土井正昭、富田涼介、虎島貴明、長岡龍歩、中田彩琥、中務貴幸、中根久美子、中村源太、中村雪乃、中村雄三、鳴瀬友希、鳴海竜明、新田京助、乃一凌平、野村麻衣子、羽田茉夏、蜂谷隆良、塙真奈美、林寿子、原尻祐介、日向朔公、広瀬さや、深水由美、福原かつみ、藤田彩、富士渕将行、藤原聖侑、古澤大地、細川祥宏、本田裕之、本田祐三、前迫有里紗、前田玲奈、松川裕輝、松新唯子、松本大輝、皆川理乃、村井雄治、村岡花瑛、室園理子、谷地克文、柳田あゆみ、山口依那、山口恵、山口智広、山下歩、山本真綺、横田拓也、吉岡沙知、吉田舞香、與那覇拓樹、楽野莉央、ラブ守永、留冬藍名、渡辺理沙
用語

人の営みが途絶えた廃墟に顕現する扉(後ろ戸)。扉自体は廃墟化した建造物の物理的な扉そのものであり、扉状の構造物でさえあれば扉が付随している建築物の種類や建築年代・廃墟化した年代はまちまちである。扉の向こうは常世に通じておりそこから災いがもたらされるとされており、草太が『閉じ師』として日本各地を旅し、扉を閉めようと奮闘する。
すずめの椅子
誕生日に貰い鈴芽が幼い頃に使っていた椿芽の手作りの小さな椅子。脚が一本欠けており、ある出来事により草太がこの椅子の姿に変えられ「動く椅子」と化し、鈴芽と共にダイジンの後を追うこととなる。日本各地を旅したが東京上空でダイジンに要石としての役割を自らに移されたことを知るも凍りつき、その様子を見た鈴芽は涙を流しながらミミズに草太を突き刺す。その後、常世でミミズの動きを抑え込んでいたが常世へ彼を救いに来た鈴芽らの尽力により引き抜かれ、彼女は常世に迷い込んだ幼い頃の自分に椅子を託す。
要石
災いを封じる役割を担う重し。時代によって所在地が変わる。現代では2011年に羊朗が刺した東の要石が東京に。かつて閉じ師の三田井(みたい)氏が刺した西の要石が宮崎にある。鈴芽がうっかり西の要石を抜いてしまい、ダイジンが逃亡しミミズが扉(後ろ戸)から現れるきっかけとなった。
ミミズ
災いをもたらす予兆。扉(後ろ戸)から吹き出す赤黒い巨大な渦巻き雲形状で、一度空へとせり上がり、地中から現れる細い金色の糸が付着し地上へ倒れると災い(地震)が発生する。扉が閉じられると爆散し、雨となって消滅する。ミミズは宮崎の扉に現れ、その後も全国各地に次々と現れる。すずめと閉じ師にしか見えないが、カラスの目にミミズが映る描写がある。愛媛、兵庫・神戸市の上空に現れるが鈴芽らの尽力により災いは防がれ、東京都の上空では地面に落下しようとした直前で要石と化した草太を鈴芽が刺し防がれる。その後は常世で草太に動きを抑え込まれていたが再び扉から脱出しようとしサダイジンと応戦するが、再び姿を変えた要石を突き刺され爆散し倒れ、草木が生い茂る丘へと姿を変えた。
常世
死者の赴く場所。後ろ戸の中に広がっており、現世に生きる人には通常見えない。見えても常世に入れる後ろ戸は生涯に1つしかない。鈴芽は4歳の頃後ろ戸に迷い込んだことがあり、彼女には見えるが、入ろうとしても入れなかった。常世に見える景色は人によって変わる。なお、彼女の場合はすべての時間が混ざりあった空と広い草原を目にした。
すずめのだいじ
鈴芽の実家の跡地近くに埋められていた空き缶。中には3月11日以降ほとんどのページがクレヨンで黒く塗りつぶされていた日記帳やおもちゃなどが入っていた。また鈴芽の家にもあり草太が椅子に座る時、脚の代わりに使っていた。
作品の舞台・モデル

この節には複数の問題があります。改善やノートページでの議論にご協力ください。
出典がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源が必要です。(2022年12月)
言葉を濁した曖昧な記述になっています。(2022年12月)
雑多な内容が羅列されています。(2022年12月)
公開後、モデルとなった場所にファンが訪れる、いわゆる「聖地巡礼」が話題となり、各地でそれに合わせた取り組みが行われている。また、今作の公開前から製作委員会が公式サイトやTwitterで「映画『すずめの戸締まり』ご鑑賞後、本編中に登場する、または関連のある場所への訪問をされる皆様におかれましては、近隣住人の方々へのご配慮、及び節度のある行動、マナーに十分心掛けながらお過ごし頂きます様、お願い申し上げます。」と注意喚起をしている[20][21]。

宮崎県
宮崎県が冒頭の舞台になった理由について、新海誠監督は『宮崎日日新聞』の取材に「宮崎が日本神話の始まりの場所であるから」と答えている[22][23]。また、主人公、すずめの名前についても「(日向神話の)アメノウズメノミコトの『ウズメ』から取った」と話している[23]。

日南市
主人公のすずめが叔母の環と一緒に暮らす地元・宮崎県。小説に「宮崎県南部」と記載されており、具体的な市町村までは明かされていないが、スマホの地図アプリに表示されている位置などから日南市ではないかと思われる[24][25][26][27]。
油津港
すずめが扉を探している草太と出会った通学路に映る港は、日南市の油津港がモデルになったといわれている[25][26]。
熊本県
湯の鶴温泉
すずめが草太を追いかけて迷い込んだのは、温泉街の廃墟「門波リゾート」。実在する複数の温泉街がモデルになったと言われている。まずは川沿いにレトロな建物が立ち並ぶシーン。熊本県水俣市の山間にある湯の鶴温泉の雰囲気に似ている。
大分県
枝立温泉
熊本県と大分県の県境にある杖立温泉。弘法大師が杖を立てたその杖から葉が生えてきたことからその名前が付いたと言われており、開湯1800年の歴史ある温泉であり、今は廃業した施設などがちらほら残ることから、ここも温泉街の廃墟のモデルになったのではないかと思われる。
湯平温泉
赤ちょうちんや石畳が印象的な街並みがモデルとなったと思われるのが、大分県の湯平温泉である。
豊後森機関庫
すずめが最初の戸締まりをした場所で、キービジュアルやポスターの背景にも登場する印象的な場所は、大分県の豊後森機関庫がモデルになっている[28]。九州で現存する唯一の扇型機関庫で、機関車を導くための転車台とともに国の登録有形文化財と近代化産業遺産に登録されている。
祇園踏切
物語序盤のすずめの登校シーンにて、大分県にある臼杵高校横の祇園踏切だと推定されている。
佐賀関港
ダイジンを追うため、椅子の姿に変えられてしまった草太とすずめの旅が始まる。四国に渡るため、フェリーに乗り込んだ港は、大分県の佐賀関港がモデルではないかと思われる。また、モデルとなった九四オレンジフェリーとは違い、国道九四フェリーの三崎港行きのフェリーが運航がされている。
九四オレンジフェリー
すずめたちが乗ったフェリーは九四オレンジフェリーがモデルであり、フェリーが出航する港は、作中では佐賀関港がモデルとなっているが、実際は臼杵港から出航している。
愛媛県

八幡浜港と旧ターミナル
愛媛が映画の舞台のモデルの一つになった理由について「去年ロケハンに来て、色々愛媛を歩いて回って。ちょうどこの場所をすずめが経由していくと、映画前半の楽しいムードをより強くできるかなと思って、愛媛を通過することにしたんです」と監督の新海は語っている[29]。

八幡浜港
すずめと草太が乗ったフェリーは「九四オレンジフェリー」がモデルで、「みかん四国」の船名到着シーンに八幡浜港の風景が描かれているが、作中で描写されている港は、旧ターミナルで、現在は老朽化によって取り壊され、新ターミナルで営業中[30][31]。
八幡浜駅
ダイジンを追いかけるため、すずめたちが列車に乗り込んだのがJR予讃線の八幡浜駅である[31]。
JR四国「キハ54」
伊予大洲駅でダイジンが駅員の帽子をかぶってSNSに投稿されている写真の後ろに写ってる列車は、JR四国の車両「キハ54形気動車」がモデルになった。四角いボディと水色の横ラインが特徴的である。
関川駅
八幡浜駅から、列車に乗ったすずめ達が降り立った駅は、四国中央市にある関川駅がモデルになったという。
伊予大洲駅
駅員の帽子をかぶったダイジンが目撃された駅のモデルは、JR予讃線の伊予大洲駅である。
大洲城
八幡浜駅から列車に乗って移動するシーンで大洲城が肱川沿いの道から映っている。
大谷池周辺
西条市にあるため池であり、すずめと千果が出会うシーンは、この大谷池沿いの道がモデルではないかと思われる。
下灘駅
ホームから広い海(伊予灘)を眺めることができ、撮影名所の一つとして知られている下灘駅。ダイジンの立ち寄った場所としてちょっとのシーンだったが映っている。
岡山県
鷲羽山ハイランド
すずめが神戸の遊園地に後ろ戸を閉じに走っていた道が、鷲羽山ハイランドに向かう道となる。ただし、遊園地のモデルは鷲羽山ハイランドではない。また、鷲羽山ハイランドが廃墟扱いされていることに、担当者は困惑しているという[32]。
兵庫県

明石海峡大橋
監督の新海は、「かつて大きな災害に遭ったが、それを乗り越え、ごく普通の生活を送っている人たちと鈴芽を出会わせたかった。必ずしも日々が順調でも平穏でもなくても、大変さを感じさせない。旅ですれ違った温かな思い出として、鈴芽の心に残る場所になるように、と考えた」と作中に神戸の町が登場する理由を語っている[33][34]。

明石海峡大橋
ダイジンが渡っている様子がニュースになっていた明石海峡大橋。四国から兵庫県に渡る際、すずめもルミさんに乗せてもらって車で通っている。
東山商店街・二宮商店街
ルミさんが働くスナック「はぁばぁ」がある劇中の九宮筋商店街の入口は、東山商店街がモデルになっている。また、商店街の中の風景は二宮商店街(琴ノ緒町)がモデルになっている[35]。
神戸おとぎの国
兵庫県神戸市の道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢内にある「神戸おとぎの国」。すずめたちがたどり着いた廃墟の遊園地・「神戸ゆめの国」のモデルとなった[35]。
六甲山
夜の遊園地のシーンで映る夜景は、六甲山の展望台から望む六甲アイランド方面の景色である。
新神戸駅
ルミさんと別れ、東京へ向かうすずめたちが新幹線に乗り込んだのが新神戸駅である[35]。
東京都
東京駅
鈴芽と草太が御茶ノ水駅までの乗り換えを行った「東京駅」。宮崎県へ帰る道中、すずめと環が芹澤に別れの挨拶をしていた場所でもある。
御茶ノ水駅
草太が住んでいるアパートの最寄り駅が、御茶ノ水駅で、東京駅から中央線に乗って、御茶ノ水駅で降りている。また、芹澤朋也の赤いスポーツカーに乗り込む場所も御茶ノ水駅前である。
聖橋・神田川
すずめが橋の欄干からミミズが現れた川に向かって飛び込むシーン。この舞台はJR御茶ノ水駅近くにある聖橋と神田川である。
順天堂大学医学部附属順天堂医院
草太の祖父、宗像 羊朗が、入院している病院のモデルが順天堂大学医学部附属順天堂医院である。
損保ジャパン本社ビル
東京の空に渦巻くミミズの下、新宿の風景が広がる中に目立つ高層ビルが損保ジャパン本社ビルである。
ビックカメラAKIBA
ミミズが一瞬消えた時の日常シーンで手前にある歩道橋と共に一瞬だけ登場した。
栃木県
大谷資料館
すずめが落ちた後の天井の様子(東京の扉)が、栃木県宇都宮市にある大谷資料館がモデルになったのではないかと思われる。
福島県
福島県の海沿いにある大熊町・双葉町・浪江町のどこか。
福島第一原子力発電所事故後、住民が住むことのできない帰還困難区域となっていた。
宮城県

道の駅大谷海岸
道の駅大谷海岸
大雨でびしょ濡れになった環と芹澤が着替えるために、すずめと環と芹澤が立ち寄ったのが道の駅大谷海岸である。東日本大震災で被害を受け、2012年11月時点で物販施設のみ仮営業をしていて、2013年4月に再開したが、新設される防潮堤と国道45号線のかさ上げを一体的に整備するため移転することとなり、2021年3月28日にリニューアルオープン。
岩手県

作中に登場する三陸鉄道36-100形気動車
すずめの実家
すずめの実家は、岩手県宮古市赤前地区にある。また付近には、作中で登場した電波塔がある。
織笠駅
すずめと草太が最後にハグをして別れたのは、岩手県の下閉伊郡山田町にある、三陸鉄道リアス線の織笠駅である[36][37]。
はまゆり
はまゆりは、東日本大震災の津波により民宿に乗り上げた船である。作中では、実際の「はまゆり」と形は異なるが、これがモデルになったと思われる。また、震災の記録を残すために保存が検討されていたが、余震による転倒や落下が危惧されたため、撤去されている。「はまゆり」があった場所は、岩手県上閉伊郡大槌町である。
三重県

ヒロインの元ネタになったアメノウズメが祭られている神社
佐瑠女神社(さるめ神社)
鈴芽の元ネタになったアメノウズメが祭られている神社。猿田彦神社の境内にある。『君の名は。』以降、新海誠など関係者が奉納し続けている。この神社の正面にある県道を志摩側に進むと岩戸姓の元になった天の岩戸の入り口に到達する。
スタッフ
原作・脚本・監督・絵コンテ・イメージボード・色彩監督・編集 新海誠
キャラクターデザイン 田中将賀
製作 川口典孝
企画・プロデュース 川村元気
エグゼクティブプロデューサー 古澤佳寛
制作統括 徳永智広
プロデューサー 岡村和佳菜、伊藤絹恵、伊藤耕一郎
作画監督 土屋堅一
美術監督 丹治匠
演出 徳野悠我、居村健治、原田奈奈、下田正美、湯川敦之、井上鋭、長原圭太
CGキャラクター演出 瀬下寛之
CG監督 竹内良貴
音楽 RADWIMPS、陣内一真
音楽プロデューサー 成川沙世子
音響監督 山田陽
音響効果 伊藤瑞樹
撮影監督 津田涼介
色彩設計 山本智子
助監督・特殊効果 三木陽子
アシスタントプロデューサー 加瀬未来、今福太郎
制作 コミックス・ウェーブ・フィルム
制作プロデュース STORY inc.
製作 「すずめの戸締まり」製作委員会
(コミックス・ウェーブ・フィルム、東宝、STORY inc.、voque ting、KADOKAWA、ジェイアール東日本企画、ローソングループ、アニプレックス)
配給 東宝
製作
監督の新海誠は「(2011年から)10年間は、ずっと3.11のことを考えながら映画を作っていた」と振り返り、本作でも東日本大震災をテーマに選んだ[38]。そして前2作の『君の名は。』『天気の子』では震災を彗星や天候がもたらす災害というように形を変えて描いていたが、本作では震災で親を失い、故郷を離れた女子高校生を主人公とすることで直接描いている[38]。新海は完成報告記者会見で、「観客の多くは10歳代で、共通体験としての震災が薄くなっている。でも今なら同じ気持ちを共有できるかもしれない」とその思いを語った[39]。

新海は舞台挨拶などで全国を回った経験から、地方では過疎化が進み、かつての賑わいが失われた場所が増えたことを実感し、「新しい建造物を建てるときには地鎮祭のような儀式があるが、町でも土地でも"終わる"ときには葬式のような儀式は存在しない。それならば人々の思いや記憶が眠る廃墟を悼み、鎮める物語を作ろう」と考えて本作を制作した[38]。そして「場所を悼む」という物語の原型を膨らませた結果、ストーリーの構造上、必然的にロードムービーといった形式になった[38]。

新海は本作に影響を与えた作品として、村上春樹の『かえるくん、東京を救う』や、宮崎駿監督の『魔女の宅急便』を挙げている[40][41]。

以上Wikipediaから引用