にしくん

TAR/ターのにしくんのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.5
名声と地位、金に愛する人の全てを持つリディアの物語。自身の全てをそのまま手元に置いておきたいがゆえに、結果としてその全てを徐々に失っていき、徐々にその精神を狂わしていく様は、まるで『ブラック・スワン』のよう。
そうして最後にたどり着いたのはゲーム作品のコンサートの指揮者。常に完璧を求めていたターを見て新たなスタートと思うのか、伝説の凋落と捉えるか。
メディアとネットがとてつもない早さで駆け巡り、自身の美学が悪意のある切り取られ方をされる、昨今の社会では当たり前のように観る光景。様々な価値観が声高に主張を挙げ、相反するものを潰そうとする。生きづらい社会に生きるリディアは、本当に生きづらそうだ。
ケイト・ブランシェットの演技が凄まじく、正直言ってこれでオスカーを受賞できなかったと言うのは驚きでしかない。
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