にしくん

哀れなるものたちのにしくんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
死んだ女性の頭にその女性の胎児の脳を移植して蘇生された女性が世界を旅して自我を確立していく物語。狂った世界観とキャラクターが癖になるのはヨルゴス・ランティモス作品ならではだが、今回は前作以上にそれが際立っている。
家の中に閉じ込められた、何も分からないまま育った女性は、人間というよりも野生動物のように、本能で自身が得られる快楽を学んでいく。その様を隠さずに描き、演じきったのは本当にお見事で、エマ・ストーンの女優としての覚悟を感じる。
自分勝手な男性に翻弄されながらも、最後には自身が目指すべきものを見つけることが出来たベラの物語。エキセントリックな作品に込められたのは、現代社会で特に最近議論になるテーマ。こうあるべき、男性に従うべきという概念を、ベラの狂った目標が吹き飛ばす。
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