僕は、あなたを十六年四ヶ月、思い続けてきた・・・ 萩原朔太郎を師と仰ぐ三好達治は、朔太郎の美貌の末妹・慶子と結ばれることを望むが、貧乏書生と侮られ拒絶される。しかし十数年後、慶子が夫と死別すると、三好は妻子と離縁して慶子と結婚。時は太平洋戦争の真っ只中、身を隠すように越前三国にひっそりと新居を構えた二人には、雪深い冬の過酷な生活が待ち受けていた。三好は純粋な文学的志向と潔癖な人生観の持ち主であり、奔放な慶子に対する一途な愛と憎しみが、いつしか激情とともに制御できなくなってゆく・・・。 「天上の花」とは、仏教用語で曼珠沙華、彼岸花の別名。燃えるような赤い花は情熱の象徴である一方、有毒性をもつ。これを食した後は「彼岸」つまり「死」しかないという説もある。
天才作家・太宰治。身重の妻・美知子とふたりの子どもがいながら恋の噂が絶えず、自殺未遂を繰り返す-。その破天荒な生き方で文壇から疎まれているが、ベストセラーを連発して時のスターとなっていた。…
>>続きを読むあるハイミスの銀行員がふとしたきっかけから性の歓びを知った時、彼女の生活は一変した。ギャンブル好きの情夫に、銀行の公金を横領してつぎこんだ額がいっしか億単位になり、狂った女の哀しい性と罪の…
>>続きを読む桂一雄には、先妻の子をはじめ、日本脳炎で言葉と手足が麻痺したままの次郎を含め5人の子供と妻ヨリ子との家庭があった。妻は次郎のことで、怪しい宗教にすがるようになっていた。昭和31年夏、一雄は…
>>続きを読む昭和初期、林ふみ子は行商をしながら、母親と駄菓子屋の二階で暮らしている。八歳の時から育てられた父親に金を無心されるふみ子に、隣室に住む印刷工・安岡は同情するが、初恋の人を忘れられないふみ子…
>>続きを読む秀でた才能を持つ小説家の大谷(浅野忠信)と誠実で美しいその妻・佐知(松たか子)。大谷はその才能とは裏腹に、お酒を飲み歩き、借金を重ね、妻以外の女性とも深い関係になってしまう破滅的な生活を送…
>>続きを読む大正末期、関東大震災直後の日本には、不穏な空気が漂っていた。 軍部が権力を強めるなか、これまでの自由で華やかな雰囲気は徐々に失われ、人々は貧困と出口の見えない閉塞感にあえいでいた。 …
>>続きを読む済州島で生まれ育ったテッキ(ヤン・イクチュン)は売れない詩人。生活を支える妻のガンスン(チョン・ヘジン)が妊活を始めたが、テッキは乏精子症と診断され、詩も書けなくなりスランプに。そんなテッ…
>>続きを読む若き日に親兄弟を捨て、歌の師である与謝野寛と結ばれた晶子は、39歳で11人の子持ち。夫はうつ病を患っていた。そんな中、雑誌「明星」に発表した詩が賛否を呼び、世間に知られるところとなった晶子…
>>続きを読む©2022「天上の花」製作運動体