ShinMakita

ブラックライトのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ブラックライト(2021年製作の映画)
1.2

トラヴィス・ブロックは、長年FBI長官ロビンソンの影(フィクサー)として活動してきた男。主な任務は、窮地に陥った潜入捜査官を合法的あるいは非合法的に救出することだ。歳もとり、孫のナタリーと過ごす時間を作るため引退も考えているが、ロビンソンは彼を重宝して手放そうとはしなかった。ある時、DC市内で潜入捜査官ダスティが暴行の現行犯で逮捕された。その身柄を受け取り、暴行事件を闇に葬ったトラヴィスだったが、ダスティは突然彼の許から逃亡してしまった。どうやら彼は、FBIの機密情報を記者ミラにリークしようとしていたらしい。ロビンソン長官の厳命を受け、何とかダスティを捕獲しようとミラを張るトラヴィスだったが……



「ブラックライト」

以下、ネタバレは俺のメニューに無い。


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リーアム・ニーソンの「ニコラス・ケイジ化」
が極まったというか。彼史上、最もつまらないアクション映画でございました。陳腐で稚拙な脚本が A級戦犯。劇映画は嘘を描くものだけど、真実味がある嘘か突拍子もない嘘は受け入れられても「練られてない嘘」はダメですよ。一気に冷めるんだよね。まず主人公トラヴィスの「フィクサー」という立場。何だそりゃですよ。FBIの非正規雇用労働者なのか長官の私設秘書なのか、曖昧過ぎてまず納得できないよね。秘密の存在なら、オフィスに堂々と呼んでいいのかとも思うし。そして「FBI長官が民間人を暗殺」というプロジェクトユニティの設定。フーバーを真似た、と言及されてたけど、盗聴恐喝はやっても、流石にJ.エドガーも一般市民の暗殺はやらなかったんじゃない??ま、100歩譲ってこの嘘を許容しても、暗殺実行をFBI局員にさせているのはあり得ないでしょ。汚れ仕事はアウトソーシングだと思いますけどねぇ。

トラヴィスというキャラクターは、もうちょい詰めればリアルになると思うんだよね。潜入捜査官たちを助けてケアするのなら、元クアンティコの教官で、捜査官になった教え子たちを救出しているという設定なら彼が任務に熱が入りまくっているのに説得力があるし、引退ができないのもロビンソンにベトナム時代の弱みを握られてるんじゃなくて、命を救われて恩義があるから、にした方がすんなり腑に落ちます。殺人には時効がないはずなので、いくら昔でもトラヴィスが逮捕されないオチには納得いかないしね。さらに言うと、助けた潜入捜査官たちはトラヴィスの資産になっているはずなのに活用しないとこもマイナス。多分ナタリーたちの居場所を突き止めるため電話色々かけてた相手はそういう潜入捜査官たちなんだろうけど、アクションシーンで助けに来てこそ、娯楽映画でしょうに。


というわけで、ダッジチャレンジャーと渋い屋内銃撃シーン、可愛いナタリーちゃんくらいで加点はできるものの、今年ワースト枠候補ではあります。残念。
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