いづる

ロストケアのいづるのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
5.0
とても見ごたえのある作品だった.誰にでも気軽に薦めることのできるテーマではないのと,観る人の境遇によって印象も大きく変わると思う.どの作品もそうだけど本作は特に.自分は親の介護でケアスタッフの方たちの言葉に救われたことがあるので刺さる部分が多かった.

長澤まさみさんと松山ケンイチさんの演技に圧倒される.不意打ちにあったサソリオーグの存在感もすごいが,これぞ長澤まさみという演技.

柄本明さんがこれまたすごかった! 先日観た「湯道」でもセリフなくスクリーンに映っただけですべてを持って行ってしまうインパクトだったが,本作では松山ケンイチさん演じる主人公の人格形成を説明的でなく分からせ納得させてしまう演技.

鈴鹿央士さんと長澤まさみさんのぎこちないけど心が通じた会話が,シリアスな作品の中の救いになっていてとてもよかった.

カメラワークがとてもよかった.映画の勉強をしている人にはとても参考になるはず,と映画の勉強をしたこともない人間が勝手に思った.

松山ケンイチさんと長澤まさみさんが一緒に映るカットで二人の心の距離の変化を表現しているように思った.

本編 114分という長さもよい.最近,長い作品が多い.

「また観よう!」と気軽に思える作品ではないが,いつかまた.
いづる

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