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CLOSE/クロースのmisoniのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.2
ルーカス・ドン監督一作目のGirlも見ているがその時と同じ様な感想を持った。恐らく当事者ゆえに描ける心体の痛み。当事者の見ている今の世界の居心地の悪さ。
自分はレオとレミの関係性を仲良過ぎるよね?って好奇の目で見る側の人間と一緒だと思って罪悪感がすごかった。ふたりの間に何か問題があったわけではないのに、周りのそういう視線がふたりの関係性を壊していく。
自責を感じつつも、レオの視点で物語が語られるけれど、レオがレミを見る時の視線、レオ視点のレミ、やっぱり友情以上の気持ちがあるんじゃないかと思ってしまった。でもその関係に他人が勝手に名前を付けレッテルを貼ってはいけない。
後半出てくるカウンセリングの授業で同級生が語るレミ像にレオがつっかかるシーンがあるがそこで教師が他人の感情は本人のもので自由でありそれを尊重しなければならない事をレミに教える。ここは大切なシーンでこういう思考を日本でも学校で教えたらいいのにと思った。
このカウンセリングのシーンで、クラスメイト自身から見たレミを語るけどどれもレオにとっては気に入らなくて、それは自分が一番レミの隣にいてレミを一番よく知ってるのは自分、という思いだったからだろう。心の奥底ではレミは自分だけのもの、こんな風にみんなとレミを共有したくない、そんな感情があったように思える。
レミの母とのシーン、何があったかレオならきっと知ってるはずで一刻も早く教え欲しい、問い詰めたい思いがあるが、それを懸命に押し殺しているのが表情で分かる。そこにもレオの葛藤があり、結局自分だけで抱えきれなくなったんだろう。そこから向かうラスト。
なんて辛い結末なんだろう。
ラストシーンを何か振り切るようにレオがすっきりしているように見えるという感想も見たが、自分はそうは思えなかった。 笑顔も悲しみも無い表情。そしてカメラと視線は合わせず視聴者に何か問いかけるわけでもない、これからもずっとレミとのことを抱えて生きていかなければならない、自分自身の気持ちと向き合っているように見えた。
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