タキ

ナワリヌイのタキのレビュー・感想・評価

ナワリヌイ(2022年製作の映画)
4.0
これが現実なのか。まるで映画みたいな話だった。紅茶じゃなくてまさかのパンツ。皮膚接触で致死に至る薬品とは、考えるだけで身震いする。しかしスパイ映画だとしてもあまりに短絡的なやり口だしチームナワリヌイのオトリ捜査にホイホイと引っかかる化学者クドリャフツェフに至ってはそんなバカな…と思いながらも、こういう状況下でなければ彼も科学者としてまっとうな研究ができたのにとだんだん気の毒になってくる。彼はスパイに向いてない。あまりにも向いてない。あれから消息不明なのだそうだ。スパイ映画よりスパイ映画らしいこの状況、まず間違いなく殺されている。
ナワリヌイ氏は「怖くない」「諦めない」と言った。プーチン陣営が発する虚飾にまみれた言葉に比してシンプルで力強い。プーチンは頑としてナワリヌイの名前を口にしないことにしているようだ。それがかえって強烈に意識していることを表していて滑稽に映る。そしてこの反体制勢力のうねりをウクライナ侵攻という一大事で覆い隠そうとしている。政治というにはあまりに幼稚で、かの国の中枢の腐敗がどれほど進んでいるかは明白だ。
反体制側として主義の合わない団体とも手を繋ぐ意味としてたくさんの人の力が必要だとこともなげに言ったのが印象的だった。こまかいことはあとにしないと自分たちの国は大きく間違った方向に進んでいってしまう。日本の野党にも聞かせてやりたい言葉だ。


ロシア反体制派指導者、スパイだまし毒盛られた方法聞き出す パンツに毒と判明 https://www.cnn.co.jp/world/35164252.html
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