じぇいらふ

42-50 火光のじぇいらふのレビュー・感想・評価

42-50 火光(2022年製作の映画)
4.3
『神様のカルテ』『白夜行』等で知られる深川栄洋監督が、職人的娯楽作品ではなく、作家的自主映画を作るシリーズを始めた。比較的明るい一般的作風をsideA、ダークでヤバイ作風をsideBとして分けるとのこと。今作はsideAらしい。なるほどsideBの『光復』よりは、明るいし、普通の家庭の普通に起きるおはなしだろう。。。。しかし自分はこちらの方が怖い笑。なぜってとてもリアルな話だから😓

50歳のそれなりに売れている脚本家と42歳のなかなか売れない女優の夫婦。結婚3年目で、年齢も考えて不妊治療を始める。そんな中、妻のお父さんが難病にかかったことが発覚する。。。というおはなし

深川監督の奥さんで女優の宮澤美保が主人公佳奈役をやり、夫祐司は映画監督→脚本家に設定が変更されてるとはいえ、ほぼほぼ深川監督そのものの役。住んでいる部屋も実際の深川家の家で、実際の毎日の挨拶(ごはんの?!🤣)とかリアルに深川家の毎日らしい、、、というフィクションだけど半ドキュメンタリーともいえるリアリティの静かな説得力。

宮澤さんは実際長野県の出身で、両親も長野から東京に引っ越してくる。このお父さん役が江本明。病気が進行しつつ、頑固で融通効かない困ったお父さんが凄い上手。さすがな演技。

不妊治療って結構大変で、妻の負担も大きく、そこにお父さんの病気が重なり、ストレスでギスギスして夫に当たる妻の感じがとてもとてもリアル。そして仕事中でも次々に問題が飛び込んできてそれに冷静に対処しつつも、自分も耐えきれずに時々壊れる夫の姿もとってもリアル。こういう家庭は実際どこでもあるだろう。自分も家庭持ちなのでよくわかる。こういう題材を実際リアルにドラマにするのは結構日本ではめずらしい。でも故によく刺さる。痛い痛い笑

物語は夫婦がいろいろ大変な出来事を通して、自分が本当に望んでいることは何か?をだんだんと明らかにしていく。最後ある決断をする、、、こういうの大変だけどいろいろ一悶着ないとわからないことってあるよなあ。

自分たちのことを題材にした、私小説のような映画。今大体同じ年齢の人には間違いなく刺さる作品。もっと多くの同年代がみるべきだなあ。

加賀まりこが夫祐司に食堂で話すシーン。彼女はここしか出ないのだが、そのセリフは強烈にぶっ刺さる😆💦全旦那さん必聴やな。