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走れ!走れ走れメロスのOtoのレビュー・感想・評価

走れ!走れ走れメロス(2022年製作の映画)
3.6
学校生活に馴染めずに「分校」に進んだ生徒3人と顧問からなる演劇部を追ったドキュメンタリー。下北沢映画祭4冠。

・映画に対してというよりキャストに対して、なめてました...という気持ちになった。練習の時点ではかなり芝居が辿々しいし、演劇できるのか?くらいに思っていたけど、本番はかなり熱量のある芝居に心を動かされた。演劇自体は断片的に見せられるのでよくわからないところも多いし、急なラップやボイパとか学生演劇ならではのサムさも感じたけれど、彼らの演劇が評価されて下北へ行くまでの過程には感動があった。

・中盤の顧問のインタビューとか含め、少し冗長に感じる部分は多かったけれど、キャストも魅力的だし、別れの儚さもあるし、なによりもドキュメンタリーだからこそ予想外の展開に進んでいく面白さがあった。夢中になれるものがあるという尊さを目撃して、自分は音楽は楽しんでいたけれど、意外とそれほど切実なものはなかったのかもしれない(演劇もやってみたかった)と思ったりした。

・彼らがその後も演劇を続ける可能性はそこまで高くないけれど、演劇が彼らの人生をどれだけ変えたかは計り知れないというか、ひとつ自分の中に誇れる経験があるかどうかというのは本当に大事なことだなと思うし、「どうしてプロになるわけでもないのにそんなに頑張れるんだ」みたいなことをスポーツ系の学生にはたまに思ってしまうけど、部活って尊いなと思わさせられた。

監督インタビュー
・フィクション想定からドキュメンタリーに。亀尾さんと配信で何かできないかとスタートしたけど、追ってみたら面白いかも?となってチャレンジ。経験はなかった。
・下北に来たのは感慨深いけど、彼らは特別な場に来た感じはあまりなかった。小劇場って狭いねくらいだった。
・地区大会、今年も無観客で、進路の都合は一人で参加。顧問も直前からサポートしてた。

審査員
・アルプススタンドのプロデュースで高校演劇に関わったけど、エモーションが描かれてる。構造が面白くて、前半はテレビ番組なのか記録映像なのか、メロスとのグルーヴもある。
→元はフィクションドラマの配信を考えていた。宇宙船の中のドタバタ。でも予算的にも難しいので、ドキュメンタリーの方がインパクト出せると方向転換。みとやの本校でフィクションを撮ろうと考えていた。ドキュメンタリーなら人少ない方がいいのでは?という亀尾さんの提案。演劇と風景だけで伝わらないと思って、2日目からインタビューを入れた。
・彼らが世の中に対する発散や刺激を持った舞台だったので、それを伝えたいと思った。島根にはあと3人、制作の人などがいて、卒業式行けなかったので撮っといてもらった。元々は地区大会に出ることしか決まってなかった。4〜5日と2〜3日×2くらいの撮影。
・行けると思ったのは、シンプルな構成の舞台はそのままで面白いので、どう映像に組み立てるか。定点では伝わらなかったり。エンタメとしても面白いものに。
・高校演劇は儚いのが魅力。ずっと続けるわけじゃないものを見られる尊さがある。
・カメラが一台しかなかったことが結果的に先生が映ってなかったりどうなるかわからない展開の面白さを産んでいた。
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