しょうやん

福田村事件のしょうやんのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
3.6
関東大震災から100年。実際に起きた事件を元にした映画は、重く衝撃的で、館内が明るくなっても座席から立ち上がれなかった…
前半、日清、日露戦争後のアジアに冠たる日本の状況と千葉の田舎のだれもが顔見知りな閉鎖的な空気、何でもない日常が描かれ、これが震災の9/1以降、日一日と日を追って非日常になっていく様は、この福田村が特殊ではなく、どこでも起き得た狂喜に肝が冷えていった。3.11でも、当日よりも数日経つにつれて、虚実入り交じった情報が飛び交った…港のコンビナートが火災で毒ガスが出ている、とか、中国人盗賊団が電気のついていない家に押し入るとか、車の中のご遺体から腫れた指を切り落として指輪を盗んでいくといったものだった…
100年立っても、何も変わらない
「15円50銭」朝鮮人は発音出来ないからと、この言葉が言えない人が惨殺された…映画には無かったが、 中国人や、 東北人も訛りから巻き込まれた。ろう者もずいぶん犠牲になったことはあまり知られていない。
途中、井浦さん演じる朝鮮帰りの澤田が韓国語で話す場面、朝鮮人が惨殺された時に通訳をした話だった。韓国語で「3/1の事件で日本は朝鮮人に酷いことをしたから、謝りにきたので、教会に入って下さい」と言うような内容に聞こえた。そうしておいて教会を焼き払ったのだ… トラウマになるわけだが、日本語字幕、欲しかった。
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