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福田村事件のクリームのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
3.8
現代も無くならない差別。戦争や関東大震災が影響し起きてしまった事件を個性豊かなキャラで、飽きさせずに描いているので観易かったです。中でも当時の女性達が抱えていたであろう性の問題を絡め進む展開は面白く、凄惨な事件にも関わらず、エンタメ寄りに作られているので、沢山の人が同和や差別問題について考えるには、良いと思いました。

澤田智一は、妻静子を連れ朝鮮半島から福田村に帰郷。村ではシベリア出兵で夫を亡くした咲江。咲江と肉体関係を持つ船頭の倉蔵、父·貞次と妻·マスの関係を疑う夫·茂次等、様々な事情を抱え、人々が暮らしていた。そんな中、沼部新助率いる薬売りの行商団が香川から、やって来ます。政情不安な社会で朝鮮人に対する差別的感情が強まる中、関東大震災が発生し、それを朝鮮人が攻めて来たとか井戸の水に毒を入れたというデマが飛び交い、福田村にも自警団が結成されるのですが…。



ネタバレ ↓



智一は、朝鮮にいた時、軍の命令で朝鮮語が出来た為、朝鮮人達を騙し、薬を飲ませ教会に誘導し、その結果彼等が皆殺しにされた事を悔やんでいて、それが原因でPTSD を発症し、不能になりました。静子は、理由が解らず、夫を求めると拒否された為、出て行こうとし、途中で船頭とSEXします。その最中に関東大震災が発生した。
村では、朝鮮人が攻めて来たとのデマを信じ、上からの通達で自警団を作り村を守る事にします。最初に朝鮮飴を売っていた少女が殺され、その後、エタである薬売りの行商団が、朝鮮人だと疑われ捉えられ、殺されそうになります。彼等から薬を買った静子は、あの人達は日本人だと言い、夫の智一が説明しますが、村人達は聞く耳を持ちません。先頭も咲江も村長も止めに入ります。
行商用の証明を持っていたので、警察に確認に行かせるのですが、村人達と言い争う新助が「朝鮮人なら、殺していいのか?」と村人達に叫び、勢いがついてしまった村人達は、狂った様に行商団に襲いかかり、若い女トミは、新助の頭を鎌でかち割り、妻子も他の村人達が次々に殺されます。残った5名は、針金でグルグル撒きに縛られます。そこに証明書が本物であったとの知らせ入ります。

戦争で夫を亡くした咲江は船頭と肉体関係を持ち、義父·貞次に欲望を抱く息子の嫁は亡くなった義父におっぱいスリスリ。不能な智一の妻·静子も欲望を船頭にぶつけSEXします。皆、若いので自分達の欲望を小さな村でもてあまし、手近な男で欲望を満たすなんて事は、あっただろうなと思え、面白く感じました。東出くん大活躍!適材適所(笑)。
自警団による暴走は、慎重な新助の村人達を挑発する様な言動に疑問を感じましたが、正義と信じ盛り上がり、憎悪感情が爆発し、歯止めがきかなくなる様は、想像が出来て恐怖でした。いずれにしても先人達の過ちを繰り返してはならない。そう言うメッセージなのは、受け取れました。

※福田村事件は、千葉県(現代の野田市)で1923年に発生した、民衆による虐殺。事件に関わった8名は逮捕され刑が課せられたが、大正天皇死去による恩赦で、全員無罪放免となったそうです。
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