DJLastChristmas

正欲のDJLastChristmasのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
1.0
自動車教習所でももうちょっと面白い動画を流していると思う。一回りして不自然さをごった煮にした批評・皮肉映画として世に出したのであればメタメタ評価ができるのかもしれないけれど、堂々と真正面からこの映画をリリースしたのであればもう一度「映画」の可能性について監督は学んだ方が良い気がします。私はこの映画を観て怒りに満ちました。

西成区で差別が無くならないから差別禁止の張り紙がトイレに掲示してあるように、声高に真正面からマイノリティの救出をと叫んだ所で何が変わるというのか。

テーマも古すぎるし、映画手法的な質も全くだめ。不自然な水が満ちるVFX、男性恐怖症の女子大生が見知らぬ男と手が触れ合った瞬間の不自然な仕草と不自然な音、検事が渡された新聞記事を一から読み上げる違和感、棒歩きする幼少期回想シーンの子役、石を投げつけた途端に何故か始まる特に見所もないスローモーション、NeoTubeという表記なのに科白では何故か声に出されるYouTube、airweaveを売ることしか仕事のない寝具売り場店員、不自然な結婚式での威風堂々(権利関係の問題だとは思うが工夫がなさすぎる)、極め付けはダンスサークルの発表。恥ずかしすぎて目も当てられない。「yo!多様性!yo!LGBTQ!」みたいな。マジ?目を疑いました。

世間に受け入れられないマイノリティの弱さが集まり結束した瞬間の儚さや強さをこそ表現すべき所、この映画では「受け入れられないことの残酷さ」を表明したのみにとどまる。いまさらすぎる。こんな映画作って恥ずかしいと思わないんだろうか。

マトモな人間への真正面説教動画を使って道徳啓蒙した所で、世界は変えられない。映画を使った映画への冒涜。
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