このレビューはネタバレを含みます
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町山智浩氏のYouTube解説をはさんで、『aftersun/アフターサン』を2回通して観た。
主演のポール・メスカルがアカデミー賞にノミネートされたり、多くの賞を獲得してインディペンデント映画の雄として注目される今作品。年齢とともに感性が鈍くなったのか、最初は単に父と娘の20年前の夏の思い出話と単純に受け止めて終わる。
そして、2回目。ある程度知識を持ったうえで観たこともあるが、兄妹と見間違えられるほど若い父の不安げな表情や異変がところどころ散りばめられていることを感じた。
20年前のホームビデオの映像と記憶をつないで、父と娘が最後に過ごしたトルコ旅行の過去と現在が交錯するドラマ。
「生きたい場所で生きろ
なりたい人間になれ
時間はある」
これが31才の父親が当時11才だった娘に伝えたかったメッセージ、として強く心に響いた。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。メッセージ性のある音楽の使い方といい、感性が新しい彼女の続編が楽しみです。