ヒラツカ

猿の惑星/キングダムのヒラツカのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
3.3
『ゴジラXコング』の感想でも書いたが、霊長類をリアルなCGで表現するのは「不気味の谷」に似た感覚を覚え、どうも苦手なのだ。そんな中、昨日の午後ローでたまたま1968年版をやっていて、かぶりものの猿の場合はぜんぜん問題はないことがわかり、けっきょくぜんぶ観ちゃった。僕が初めて『猿の惑星』と『続・猿の惑星』を観たのはたしか大学生のころだったけれど、その当時の思いとしては大昔の稚拙な特殊効果技術は「古くさっ」以外のなにものでもなくって、自分の中では映画として成立していなかったんですよね。しかし、40代になって改めて観てみると「チャーミングだな」と思っちゃうというのは、おっさんになったことで向上心が薄れ懐古主義に陥ったということなのかな。もしくはもともとの僕の審美眼の問題かも。まあでも、その初期作たちは「斜め上の展開」という点においてであれば「評価する」の引出しに入れているわけだけど、バートン版や直前の3部作は全部いちおう観たはずなのに、いまとなってはぜんぜん話を覚えてないし、観返そうと思ったことも無いんだよな。
ということで、思い入れのないシリーズではあるが、まんをじしてIMAXで観てみたけれど、まずは想定していた苦手さをさほど感じなかったということに安堵。作画の技術がついに不気味の谷を超えたということなんだろうか、すっかり感情移入してストーリーを追うことができた。でも、この移入の仕方って、よくある「冒険もの」のコンテキストの記憶への没入で、つまりは彼らを人間とに変換して観ているわけで、すると、登場人物を猿にした意味あるかな?とも思ったりした。たしかに、猿じゃないとできないようなおもしろアクションシーンはいくつかはあったものの、軸となる話の筋自体は古代〜中世の乱世のころの話として成立するわけなので、じゃあ制作陣がわざわざ大金をかけてCGに置き換えたものを我々が脳内で人間に置き換えちゃうのって二度手間だしコスパ悪くないかな。
ノヴァ(メイ)がノアたちを波の高い海岸沿いを連れて行って苦労してたけど、さきに崖を登ってから進めばよかったよね。あと、ウィリアム・H・メイシー久しぶり!もう74歳だとは。『ファーゴ』のころの卑近な弱々しさがなかったのでティム・ロビンスかと思ったよ。高層ビルたちが緑化している、人類文明が滅びたあとの地球を再現したビジュアルは最高水準。