にしくん

To Leslie トゥ・レスリーのにしくんのレビュー・感想・評価

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)
4.5
酒に溺れた救い用のない母親の再生の物語。捨てる神あれば拾う神あり。多くの人を裏切りながらも、その度に誰かに救われる彼女は、人生のリスタートを決意する。彼女の過去は詳細には語られない。それでも映画の要所要所でレスリーが見せる表情が、彼女の人生に想いを巡らせるように、観客に仕向ける。
人の優しさと愛情に触れて、彼女は再生し、映画は終点に向かう。最後のシーンは涙無しには観ることが出来ない程に愛おしく、この映画を観れた幸福感を観客に与えてくれる。上手く行かない人生中にも希望があり、愛情を注いでくれる人がいて、それがどんなに小さなものでも、それがあれば人は失意の中でも再び歩き出せることを描いた傑作。久々に映画館で涙が止まらない程感動した。
何よりもレスリーという女性を演じたアンドレア・ライズボローの演技が本当に見事で、映画を観た今は、彼女こそがアカデミー賞に相応しかったと思うし、今年一番胸を打つ演技だった。
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