小原ブラス

オットーという男の小原ブラスのレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
4.0
”普通に“良いお話。
ベタだけど、それがいい。

偏屈おじさんが、近所に引っ越してきた家族との触れ合いで心を温める。

「オットーは町内イチの嫌われ者でいつもご機嫌斜め。」そんなフレーズで予告されていたが、最初から全然“嫌われ者”ではなかった。

確かになんでもグチグチ嫌味な言い方はするけど、彼の行動はいつだって人のため、町のため、皆のためだったし、困ってる人には文句を言いながらも必ず手伝う。

彼の行動をみて、町の住民は「あの人は口は悪いけど悪い人じゃない」ってちゃんと分かってた。だから、皆彼をほっとかないし彼を頼る。

現実世界では人の行動よりも、雰囲気や噂で判断されるから、こういう良い人が「頑固親父」とレッテル貼られて孤独に死ぬんだろう。

ここの町の住民はいい意味でお節介だし、ちゃんと人の行動をみている。そんな住民に恵まれてオットーはマジで超幸運おじさんだ。だからコミュニティから阻害されることなく最後まで近隣の人と双方共に幸せに暮らせた。

これからますます高齢化社会、近所同士のお節介も必要かもしれない。

【余談】
オットーの亡くなった妻の名前は「ソーニャ」(ロシア系)。また、彼女がオットーとはじめて出会った日に落とした本はロシア文学の傑作ミハイルブルガーコフ著「巨匠とマルガリータ」だった。なので彼女はロシア系かウクライナ系かな?

「巨匠とマルガリータ」はかなり好きで今でも自宅に置いてある本の1つ。ちょろっと出てきて嬉しかった。
小原ブラス

小原ブラス