是枝作品にあるまじきレベルで子役が演技をしていた（上手かった）。そのせいか、是枝映画というより坂元脚本映画なんだなという印象のほうが強かった。
しかしこれかがクィア・パルムを受賞したのは解せぬ。政治的な意図を感じた。これだとどっち陣営からも文句でにくいからでは？的な。
この作品がクィア映画賞とるなら「銀河鉄道の夜」もクィアアニメ賞受賞することになるでしょ。というかこれは令和版「銀河鉄道の夜」だなと思いながら見てました。
賞というのは政治から逃れられないところはあるけど、万引き家族のいまさら受賞も「誰も知らない」でとらせなかった罪滅ぼしみたいな感じがあったし…なんかこの受賞は納得！とは感じなかった。で、それは脚本のせいじゃなく演出だと思う。ぬるいと思った。
まとめると映画としては普通レベルだと思いました。絶妙なモヤモヤ感は引き起こされるけど胃の腑が抉られるようなパンチがないのは「誰も知らない」の時のような語りの切実さが監督にないからだと思った。
ただし各々の役者はさすがに上手い。高畑充希の絶妙に嫌な女感とか舌を巻く感じ。田中裕子は樹木希林なきあとの是枝監督のグレートマザー・ミューズになるんだろうか。
