さいとぅおんぶりー

君たちはどう生きるかのさいとぅおんぶりーのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.5
わりと難しい映画と事前に聞いていたので理解できるかどうか不安だったが、明らかにベックリンの死の島をイメージした島が出てきた所で、この映画は作者の内的世界を描いてますよと示唆されたので途中から映像に身を委ねて安心して観ることができた。(ベックリンの作品も作者自体が何を現したか明示していない)

考察する事が無粋な作品だが、この作品はボードレールの悪の華(不遇の第一連)とゲーテのファウストを下敷きとして宮崎駿の内的世界を描いているように見えた。

わかる事が重要視される時代にサンボリスム的な表現を取り入れ、更にそれらを粉々に破壊する意図は宮崎駿の回帰と決別の成長譚として受け取りました。
オートフィクションとジブリと美術史の変遷みたいな映画だったので、おそらく次の作品は抽象表現主義的な方向に以降するんじゃないかなー。