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ゴジラxコング 新たなる帝国の傘籤のレビュー・感想・評価

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人間ドラマも細かい辻褄合わせもどうでもいいから、ゴジラとコングが共闘してる所を撮りたい!という怪獣映画としてとても真っ当な精神で作られている作品だった。
プロレスって言葉が齟齬を生みやすい言葉なのはわかってるけど、やっぱりこれは「怪獣プロレス」をしてる映画で、そりゃもう喝采をあげたくなるくらいなもんだ。ライバル同士が手を組み、タッグマッチに持ち込む流れは笑っちゃうくらいストレートにそのお題目に沿っているし、ピンチになるとミニコングやモスラがすかさず手を貸すのも、リング外からパイプ椅子で攻撃する助っ人みたい。そうそう、こういうのでいいんだよ。ちょこざいな政治要素を入れて浅くなるくらいなら、最初から振り切ってしまった方がいい。私が見たいのは怪獣によって街が破壊される光景なんだから。そこでは人間みたいな"些細な"存在なんて後方に置いておかれる。有名な建築物を景気良くぶっ壊し、倫理も歴史も無視してただただ力をぶつけ合う。そういうことを怪獣映画は許容してくれる。エンターテイメントとして。アクションの面白さとして。その点をこの映画はよくわかってる。だから好きだ。
カスタムな武装をしていくコングに対して、裸一貫で戦うゴジラを見てると力の均衡を保とうと裏方が必死で試行錯誤してるのが伝わってきてなんだか涙ぐましく感じるよ。パワーバランスって大事だ。怪獣映画では殊更に。モンスターユニバースはこれからもこの路線で行ってくれ。大画面で観る価値ってのはこれくらいの気安さで丁度いい。壊せ、ぶっ壊せ。美しく型作られた街が破壊されていく光景をもっと私に見せてくれ。
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