悠

インフィニティ・プールの悠のレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.3
金さえ払えば犯した罪を自らのクローンに背負わせることで死刑を免れることができるというトンデモ島を舞台にしたディストピアホラー。
ブランドンはもはやデヴィッド・クローネンバーグの息子という肩書きが必要ないほどに独自の路線を構築しているなと感じました。クローンというテーマで前作とは別角度からアイデンティティクライシスを描いていますが、相変わらずユニークなアイデアをアーティスティックな物語へと昇華できる力量に感心させられましたし、世界観の設定一本で余計な細かい設定を加えないところもスマート。ドストレートなゴア描写をする一方で、今の何!?という強烈なグロキモビジュアルをサブリミナル的に挟むミュージックビデオのような映像には惚れ惚れしてしまいます。『武器人間』のリチャード・ラーフォーストが手掛ける醜悪な仮面のデザインやミア・ゴスの怪演も相まって、不穏さがとても際立った作品でした。
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