イチロヲ

世界残酷物語のイチロヲのレビュー・感想・評価

世界残酷物語(1962年製作の映画)
4.0
全世界の風習・奇習を紹介していく、「ヤラセあり」のフェイク・ドキュメンタリー。本作の公開以後、世界各国で模倣品が製作されたが、それらは本作の原題「Mondo Cane」(犬の世界)からヒントを得て、「モンド映画」と総称されている。

製作側の演出が加えられているが、映像自体は現地調達によるもの。都会の文明人と未開地の部族の「人の世の種々相」を、文化相対主義的な論法で解説していく。海外に未知なるファンタジーとミステリーがあった時代を再確認することができる。

扱っているテーマは、男女の求愛行為、畜産と狩猟、水爆実験の後遺症、死生観、宗教的観念など。日本に舞台が移ると、牛にビールを飲ませる畜産技術、グラマーな女性が応対してくれるマッサージ店などが登場する。

ラストシーンでは、文明人がもたらした技術や観念に惑わされてしまう、先住民族のエピソードで綺麗にオチがつく。「地球上がこういう世界だったら面白いのになぁ」という、製作側の願望がストレートに伝わってくる。そこが、大きな魅力。
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