幽斎

メディカル・ダウト 陰謀の行方の幽斎のレビュー・感想・評価

3.8
C級スリラー(ホラー)をレビューする、Scavengerシリーズ第27界。原題「Caretakers」直訳すると世話人、アメリカでは「緩和ケア」。人生最期の時に心穏やかに過ごす為に苦痛を和らげる。Hospitalityを略してホスピス。AmazonPrimeVideoで0円鑑賞。

George Loomis監督、脚本、主演。日本で視聴できる作品では本邦初公開。初監督だが短編映画、TVシリーズを含めると30作品以上に出演歴の有る俳優。本作もJones Berg役で出演。共演Christopher Cousins、ハリウッド版呪怨第2弾「呪怨 パンデミック」。「ドラフト・デイ」Kevin Costnerと共演歴が有る等、脇役一筋永谷園。Vivica A. Foxは「インデペンデンス・デイ リサージェンス」一番有名だが、最近はサメ映画の常連。言い忘れたがGeorge LoomisはGeorge Lucasの親戚では無い(笑)。

本作はアメリカのプライム(日本で言うゴールデン)放送されたTVムービー、クオリティが評価され2018年カンヌ映画祭で上映、後もサンタフェ映画祭セレクションを始め、数多くの映画祭で監督賞、脚本賞、監督もベスト・アクターに選ばれた優秀作品。スリラー界隈では有名で日本未上陸で気を揉んだが、鑑賞したら何故日本の配給会社が二の足を踏んだか解る。TV放送時のタイトル「Unsinkable」不沈、見れば意味は分かる。

ジャケ写の左2コマがGeorge Loomis監督。真ん中がChristopher Cousins。アメリカでは「Slow burn. Great payoff!」高評価、因みにSlow burnはスリラーへの最高の褒め言葉。プロットは臓器移植ですが、アメリカの移植の仕組みを理解しないと、監督のテリフィックも理解出来ない。アメリカは世界で最も臓器移植が盛んな国、日本の医療が待てないと渡航する方も多い。昔は募金、今ならクラファンを募りますね。

アメリカでは補助人工心臓を装着する重症化前に移植に到達できる。日本から渡航した患者は、必然的に優先して移植が受けられる。移植には保険は適応されず、ほゞ全て自己負担。日本は脳死後に臓器を提供するが、アメリカはオプトイン方式で、金の有る者が優先的に移植できる。アメリカで心臓移植する場合、1日の管理料100万円。1ヵ月滞在するだけで5000万円。正に命の沙汰も金次第。

日本でウケない理由はシンプルに脚本がクソ真面目だから。展開が平坦でイントネーションも薄く、スリラーにしてはオチを除いてジャンプスケアも無い。確かに伏線は洩れなく網羅され唐突感は無い。ドラマを良く見れば共犯者の存在も浮かび上がる。監督には一世一代の作品だろうが、観客から見たらもう少し途中で楽しませてよ、と言うのが率直な感想。アメリカの殆どの人が移植を受けられない現実を見れば「Good story with twist ending」嫌味を言いたくなる気持ちも解る。私が監督なら、片思いのナースが妊娠したが・・・の方がスッキリする。エッチも見れるし(笑)。

お笑い芸人のひょっこりはんの様に「驚愕の結末」が顔を出すので、暇潰しに為るかも。
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