幽斎

スリーピング・ルーム 娼館の秘め事の幽斎のレビュー・感想・評価

3.0
C級スリラー(ホラー)をレビューする、Scavengerシリーズ第31界。原題「The Sleeping Room」THEが最初に付くとイギリス英語で「休眠する部屋」。寝る、と言う意味では無い。AmazonPrimeVideoで0円鑑賞。

Amazonもネタが尽きたのか、プライム会員の暇潰し無料作品の在庫に黄信号が付いたのか、本作は2017年制作と謎映画にしても結構な古株。幸いな事にイギリス映画なので見た目の古臭さは感じさせず、作品をタダでは買えない日本のトランスワールドアソシエイツの苦労が忍ばれる。スカベンジャーも原則0円なので、私の方も大変よ(笑)。

ジャンル的にはオカルト・スリラー。然もイギリス映画なのでグロはゼロ。邦題を見てエッチを期待するだろうが、飽く迄プロット的なお話でエロもナッシング。イギリスのホラーはアメリカの様なジャンプスケアに頼らず観客の心情に訴える上品な仕上がり。故に「怖くない!」怒り出す方もお見掛けするが、ソウ言う事なので御理解を賜りたい。75分と短めでサクッとご覧頂ける。

イギリスは日本の心霊系ホラーと似たセンテンスが有り、古の禍々しさに依る対象が現世に去来するプロットが多い。本作は「高級娼館」低級じゃないのがイギリスらしいが、忌まわしい過去に隠された事件がドウ結び付くのか、英国らしくミステリー調で描かれる。ヒロインを演じたLeila Mimmackは本作でステップアップ、2015年「ハイ・ライズ」文字通り昇格。イケメンTom Hiddleston、Jeremy Irons!、Luke Evansと豪華スターが揃う極上の社会派スリラーなので、軽くお薦めしたい。

「ヴィクトリア朝」と言うフレーズが出て来るのがハリウッドの安いホラーと格の違いを魅せ付けるが、当時の娼婦の方は今の風俗とは違い治外法権的な扱いで、セックス以上の事を要求されたり、秘密裏に今で言うスナッフ・ビデオで殺される事も。ソコで登場するのが「Mutoscope」、Thomas Edisonのキネトスコープと同じく、覗き込む仕掛けが当時大流行。特にイギリスでは「What the Butler Saw machines」執事が覗き穴から見たのは脱衣の女性でポルノとして一世を風靡した。何が見れるのかは御自身でご確認を。

本作はイギリス長編映画で初のクラウドファンディングで制作。エンドロールで「Thanks」と「Special Thanks」分かれてるのが泣ける。超低予算でアメリカのホラーと比較するとアッサリ塩味だが、ドラキュラ俳優に事欠かないイギリスらしい配役や無名監督の丁寧な語り口は、大人が嗜むスリラーとして悪くない。同じプロットをハリウッドでリメイクしたらレビュー済「死霊館」に成れる、と言えば褒め過ぎか?(笑)。

心霊よりは怖いのは人間と言う着地点はイギリス映画らしいので、暇潰しに為るかも。
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