Tanaka

夜明けのすべてのTanakaのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

特に大きな展開があるわけでもないけどずっと退屈しなくて面白い。

撮影も美しいし、演出がとても感情的。泣けるとかいう意味ではないけど、エモいというのが1番近いかも。

冒頭は主人公の語りから始まるのでモノローグ過多のしんどい映画かと思ってたら、全く真逆で役者の演技と演出が助け合ってる稀に観る傑作。(モノローグも映画内で3回だけ。)

『ケイコ 目を澄ませて』もそうでしたが16ミリフィルムの現実感や環境音がとても心地良く、私たちの世界の日常がとても美しく描かれていて感動しました。「現実にはちゃんと希望がある。」と示してくれることで辛いものを抱えていたとしても前へ進む道筋になる素晴らしい演出でした。

「主人公たちが希望を持てたのは偶然優しい職場で理解し合える人に出会えたからでしょ?」という自分の中に浮かび上がってきたツッコミを「2人は離れても希望を持っている。この美しい現実の世界が希望なんだよ。」と映像だけで表す技量は本当に素晴らしい。

実際、主人公たちは序盤で全く笑顔を見せなかったのが終盤にかけて人と触れ合い笑顔を見せていきます。メンタルクリニックの医師が言うように少しずつ症状と向き合い社会、世界と繋がっていく。

2024年のベスト10には間違いなく入る凄くて好きな映画です。
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