松坂桃李

夜明けのすべての松坂桃李のレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
序盤から後半への表情の変化や言葉の弾みの演技が上手で、全体的にも過剰な演出や台詞が少なくとても自然に鑑賞することが出来た。

扱いずらい病名を取り上げながら、ふたりの周りに登場する人物も理解のある優しい人ばかりで嫌な気持ちにならない。

自分も生理前は無性にイライラするし、やるべきこともないやりたいこともない、生きていることが辛いけれど死にたくないと思っていたことがあると思い出した。



「でも、夜がなければ私たちは地球の外に目を向けることもなかったでしょう」

夜と朝はどちらも平等に存在していて、誰が何を願おうが毎日夜はやって来て、それは必ず明ける。
そしてそれを繰り返す中で同じ瞬間は何ひとつとして存在しない。
昼間は目の前のことに目を向けて、夜には遥か遠い世界のことを考えてみる。
私たちはそういう繰り返しと絶え間なく変化し続ける一瞬の中で生活している。
一番暗い空の下にいるときには気付かないけれど、あれは夜明けが近かったのだと後になって気が付く。