Tobi

夜明けのすべてのTobiのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.3
『悪は存在しない』の濱口竜介監督がインタビューで「大好きだ」と語っていたので観に行く。

すごくいい映画だが、監督が表現したいことと、タイトル、製作サイドのキャッチコピーや宣伝全部がいまひとつ情報整理されてなくて残念感あった前作『ケイコ目を澄ませて』の三宅唱監督。

形至上学的なテーマなのか、観客にもう少し寄り添ったものなのかは違えど、俳優へのアプローチや1シーンごとにこだわりたいポイントが濱口監督と似ているから、彼の大好きというステイトメントもわかる気がした。

不動とされる北極星さえ、2万年後にはこぐま座に移り変わる。この世に変わらないものはひとつもなくて、人も、星も、この一瞬すれ違うだけ。どこにも同じ瞬間はなくて、角度を変えれば、まばゆくはなくても、みんな違った輝きで存在している。

三宅監督の作品は、映画全体から立ち上がるものが、意図したものを越えて、そこをはみ出したところでふいにガツンと煌めく。
その意図しない光の余韻がいつまでも残って、見終わった後に涙が込み上げた。

韓国のドラマや映画を観ていたら驚くべきほどに低予算の映画だが、日本のクリエイティブの可能性はここにあると感じた。いや~よかったなあ!
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