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Avalon アヴァロンのmarimoのレビュー・感想・評価

Avalon アヴァロン(2000年製作の映画)
3.7
無性に“犬映画”が観たくなって
ふと思い出して鑑賞

公開時期で”マトリックス”から影響を受けたと思われがちだけど
そもそも“マトリックス”が“攻殻機動隊”を拝借してるので、こちらが本家です

後の“イノセンス”の要素を色濃く感じる本作

当時は置いてけぼりの人も多かったテーマだが現代のネットリテラシーであれば思いの外シンプルで分かりやすい内容に感じるはず

押井守監督の作品に共通する、本人が現実だと思ってるところが現実なのでは思想

SNSやゲームに限らず公共機関においても数多くのアカウントと紐付いてる現代人にとって、そのアカウント全てがリアルで、今この現実と呼ばれる場所ですらアカウントの一つ
この現実を親アカウントと捉えるか、子アカウントと捉えるかはそれぞれに委ねられている
もはや現実世界は生命が宿る親アカウントというだけで、精神が宿る親アカウントではないのかもしれない

とそんな思考を広げたりできる作品が23年前に作られていたんだから時代の先取りが過ぎるんです

予算が少ない中でできることを取捨選択し
決して背伸びをしない身の丈にあった作品

何より川井憲次による劇伴の素晴らしさ
押井守の映像センスと抜群にハマり
冒頭”log off”が流れる瞬間のカッコよさといったら
もうこれだけで満足できる作品だったりします

アヴァロン内の映像についても技術的な制約があるからこその表現でこれは当時よりも今観る方がしっくりはまる気がする
押井守など一時代を築いた巨匠たちは何でも出来る現代の映像制作よりも、思いっきり制約があった時代でこそのセンスだった気がしてます

主役のアッシュ役 マウゴジャタ・フォレムニャクが、どこかアナ・デ・アルマスを想起させる美しさ
もうその美しさだけで鑑賞できてしまうので内容がよく分からなかったとしても大丈夫なんです
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