王冠と霜月いつか

碁盤斬りの王冠と霜月いつかのネタバレレビュー・内容・結末

碁盤斬り(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「中国のウェイチー。いわゆる囲碁だね。人類史上最も難しいボードゲーム。」
『毛沢東は将校達に学ばせていた。』
「これは良いヒントになるかもしれません。囲碁は性格が顕著に出るゲームなんです…保守的で地道に陣地を取るタイプ、攻撃的なタイプ、策士…」
~クリミナル・マインド:シーズン1エピソード1『シアトルの絞殺魔』より

ログラインは、武士の矜持を守るために戦うある男のお話です。

大元のネタは、古典落語の柳田格之進もしくは、柳田の堪忍袋という演目で、それをノベライズした原作の映画化のようです。

古今亭志ん朝師匠の一席を動画で拝見してから挑みましたが、肉付けをされているもののオチは変わらないので、情報を入れないで観た方が良いと思います。

劇中、柳田格之進と萬屋源兵衛が碁盤を囲むシーンが多く出て来ます。最初は賭け碁から始まった勝負がお互いを知り、リスペクトしあう仲になり、特に源兵衛は自らの商いも格之進に影響され、嘘偽りのない真っ当な型に変わっていきます。囲碁は全くわからないのですが、ルールがわかる方なら、HUNTER×HUNTERで、メルエムとコムギが軍儀を打つシーンのように、ストーリーの“布石”になっていたり指し手の心理を描写する重要なシーンになっているな!とより深みが増した事でしょう。しかしながら、チェスにしろ将棋にしろ、そして囲碁にしろ知的なゲームに精通しているというのは格好の良いものですね。

キャストで言えば、安定の萬屋源兵衛/國村隼さん、それと若い人はご存じかどうか、花の82年組のダブルエースの1角(個人の感想ですw )小泉今日子さんの芸達者ぶり…キョンキョン、あんなに芝居上手かったっけ?…そして勿論、柳田格之進/草彅剛さんの存在感…ちょっと感情が揺れすぎ分かりやす過ぎですが。

そしてそして、清原果耶“様”の和装と御髪のお美しさ。亡き母の着物を自分用に遇えて、キョンキョンに着付けてもらったんでしょう。その時に、果耶様の唇にキョンキョンが紅をさすんですが、口小っさ!セクシー!!たまらないシーンでありました。

総合的な感想としては、そもそもの噺が、現代のやや行き過ぎ感のあるコンプライアンス的に、ちょっとそれを『人情噺』で持ち上げ過ぎては“駄目”なんじゃないですか?という印象が残る演目なのですが、それでも人として
失ってはいけない、決して譲ることの出来ない矜持を描いた良作だと感じました。

次は、白石和彌監督の孤狼の血Level2のレビューあげますね(^_-)

「人生はチェスとは違う。チェックメイトの後もゲームは続く。」
~アイザック・アシモフ