るるびっち

法廷遊戯のるるびっちのレビュー・感想・評価

法廷遊戯(2023年製作の映画)
3.1
過去に囚われて、未来に生きようとしない三人の話。
まさに遊戯であり思考実験に過ぎないので、何一つ真実らしさはなく、ご都合主義の作り話。不幸な生い立ちが罪を生むという因果話。
社会が暗いのではなく、作家の視野が暗いのだ。

腐った大人を真似て、卑劣な行為をしていては同情できない。
自己憐憫に浸って、復讐するは我にありと開き直っている。
可愛そうな子だね、ヨシヨシと感情移入できない。
そして相変わらず判で押したような、虐待・性加害・いじめ・偏見・自殺という不幸のズンドコ節。
邦画も漫画もこればかり。アイデアがないのか、本当に日本社会の闇が深いせいか・・・。
いや視野が狭いせいだと思う。均一化した学校教育の弊害かな。

隠された真実として、司法制度の歪みへの追及が描かれるが肩透かしのような気がする。それを狙って作ったようには見えない。
意外性の為だけに、そちらを描いた感じ。だから浅い。

一見仕掛けが複雑に見えて、実はどういう風に見てもらいたいのか解らない。なので悲しみの感情が湧きあがらない。
どういう感情で見て欲しかったのか?

最悪なのは、夢や未来を信じていない印象なのだ。
不幸な生い立ちから勉学して弁護士の道を開いたのに、過去の悲しみに囚われて全てを捨てる三人。
今の日本では生い立ちを跳ね返し、夢や未来を描くことができないのだろうか。
運命を切り開くという意欲がない。
何のために、弁護士になるほどの勉強をしたのだろう?
それほど、今の日本は希望が感じられないのか。
知識や経験は、悪用する位しか能が無いという結論なのか。
話以上に、視野の狭さに現代人の絶望を感じた。
未来が無いのは社会ではなく、若者の心の中なのだ。
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