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窓ぎわのトットちゃんのchiのネタバレレビュー・内容・結末

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

実話が元であり、作者の背景上そんなことはないと頭では分かっていながらも、校長先生が狂った信念に殉教するタイプの悪役に見えてたまらず(最後には暗転する中目の光だけを残して退場するのだから多少は意図的なのではないかと疑いたくなるくらい)、ヒヨコとやすあきちゃんの対比は「なんとか買わせまいとする両親」「『教材』として他の生徒に与える校長」なのではないかとすら感じるときがあった。
予告を見たときに感じたキャラクターデザインへの違和感が消えなかったことも理由なのだろう。男児や男性が総じて歪んだ造形に思えるのだ。

強力な原作を元に、おそらく的確な尺で切り取られた映画化は今後の教育映画として相応しい出来だった。これからあの手この手で小学生が触れさせられ、沢山の心にトラウマを刻んでいく名作だ。

私的な事情でひっかかったのは感想等で主人公を指して言われる「おませ」という形容で、あれが「おませ」なら周囲から常に下に見られた自分の幼少期はなんだというんだという方向性のやるせなさが襲ってきていた。生真面目な指導能力をお持ちの教師、勝手に喫茶店に行きながら娘がそこに「帰って」来ないことに怒り出す母親、子供との接触はすべてルーチン化している父親、子供と話すときだけ良い顔をしていれば怒鳴り付ける姿を見せてしまっても全く気にしない父親の上司。
これらの大半は冒頭ではなく転入後に描写されており、(少なくとも主人公にとっては)救済となる校長との対話は華美に演出されず導入として消費される。そのテクニックは嬉しいものに感じる気もするし、あまりにも「流された」ようにも感じて整理がつかない。
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