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キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩のShinMakitaのレビュー・感想・評価

2.4

1939年、ポーランド・スタニスワヴフ。ユダヤ人ハースコウィッツが家主として所有するアパートメントの一階に、ソフィア&ミハイロの若夫婦が引っ越してきた。2人はウクライナ人のミュージシャン。幼く愛くるしい娘ヤロスラワを育てており、ハースコウィッツ家の姉妹ディナ&タリアの音楽教師でもあった。同時に、アパート3階にポーランド人主婦ワンダの一家も引越してきた。一階にウクライナ人がいるのが気に入らないワンダだが、娘テレサがヤロスラワと仲良くなり、ソフィアのレッスンを受けるようになってからはわだかまりも解けていく。
だがこの年、スタニスワヴフはソ連の占領下となり、ワンダが政治犯としてNKVDに逮捕されてしまう。やむなくテレサを自分らの娘として育てることになるソフィアたちだが、さらに月日が流れ1942年。今度はドイツ占領下となったせいでハースコウィッツ一家が収容所送りとなり、ナチの手を逃れたディナとタリアもソフィアの部屋に転がり込んだ。こうしてソフィアとミハイロは、ヤロスラワとテレサを養いながら懸命にディナとタリアを匿い続けるが、外出に嫌気がさした幼いタリアが部屋を抜け出してしまい……


「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩」


以下、ネタバレ・オブ・ザ・ベル。


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「ホームアローン」劇中の聖歌隊が歌ったことで有名なあの曲をモチーフに、70年前に、いや現在も土地を蹂躙されるウクライナの悲惨さを描いた作品。当時のポーランドとウクライナの関係、ロシアとウクライナの関係が見えてくるのと同時に、母の強さと子供の無垢さが描かれていて胸を打つ良作です。ヤロスラワが〈シェドリック=キャロルオブザベル〉という曲を願いを叶えてヒトを幸せにする曲、と信じていたのに、窮地を呼んだり違う意味で捉えられたりという展開になるのがドラマとして面白いところ。残酷な場面も直接的に見せない品の良さもあり、万人にオススメできる一本。ぜひ。
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