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PERFECT DAYSのcrdbのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8
『PERFECT DAYS』

渋谷区の公共トイレを建築家やアーティストがリノベーションするTHE TOKYO TOILETというプロジェクトがあります(透明だけど鍵かけるとスモークがかかるあの有名なトイレとかもそのプロジェクトのひとつ)。
それらのトイレには専門の清掃員がいるそうで、『PERFECT DAYS』は、そのトイレ清掃に従事する1人の男(平山)が主人公の劇映画です。その主人公を役所広司さんが演じています。監督は巨匠ヴィム・ベンダース(『ベルリン・天使の詩』は昔観た記憶)。

まず、観た感想をただただ脳死でお伝えするとすれば、「素晴らしすぎる」の一言でした。
ここ数年で一番好きな映画かもしれないです。

役所広司さんの演技がただただ素晴らしい。
文字にしてしまったらなんでもない毎日、日常なのかもしれないけど、この毎日を追っかけていくことで、気づいたら平山(主人公)の幸せな日常というものに感情移入してしまう。朝、仕事に出かけるために家を出た時の空が綺麗だった、昼休みに見る木漏れ日が美しい、そんな他愛もないちょっとした幸せな瞬間に、気づいたらこちらもニヤニヤしてしまう。

色々あるけど、ただ生きていく。それが幸せなんだと。

いろんな人生や暮らしがあるし、普段自分が接することの無いような人たちも沢山いる。
でも、そんな人たち(他人)の暮らしや人生を、じんわりと感じさせてくれるような映画。
それぞれの生き方を肯定してくれるような映画。
それぞれの幸せがあって、それは誰にも否定出来ない。そんな風に思えた映画。素晴らしい人生讃歌。

絶賛してる人多いので、期待値が上がっちゃうかもですが、ぜひ映画館で観てみて欲しいです。そして余韻を含めて楽しんで欲しいなーと思う映画でした。

※完全に余談で後から気づいたのですが、主人公が車で聴くカセットテープの曲として、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやルー・リードの曲が流れるんですが、とある登場人物の名前がここにかけられているのでは無いかとニヤリとしてしまいました。
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