シネフィルmonk

枯れ葉のシネフィルmonkのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.5
労働者3部作『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』に連なるアキ・カウリスマキ監督の6年ぶり新作。

勤めていた仕事を首になり、お互いの名前も連絡先も知らぬまま出会った不器用な中年男女。知らず知らずに2人は惹かれ合うが、そんな2人に思わぬ不運と過酷な現実が襲いかかる…。

日本の昭和のようなノスタルジックな恋愛話に、隣国ロシアのウクライナ侵攻という現実のニュースを織り交ぜたストーリー。カウリスマキ作品には珍しく、携帯電話が出てくるものの、そこはスマートフォンではなく、昔ながらのアナログ固定電話でした。

2人のデートする映画がジム・ジャームッシュのゾンビ映画『デッド・ドント・ダイ』であったり、ジャン=リュック・ゴダールやロベール・ブレッソンの映画ポスターがあちこちに顔を出し、名作『めぐり逢い』や小津安二郎とチャールズ・チャップリンへの思い入れたっぷりのオマージュシーンも随所に。

劇場ではときに笑いあり、涙あり、とても心地よい鑑賞タイムでした。今夜はパンフレットを読みふけり床に着きそうです。
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