このレビューはネタバレを含みます
踏み切りが弱い。言いたいことを言い切らない。アート系といえばそれまでだが、それならそれでもっと吹っ切って、混乱を与えてほしかった。
「抑揚のない時間というのが普通の日常であって、それが今も昔も変わらない」ならそれでもいい。日常を描きながら、この歴史の悲惨さを暗に伝える。ただ観客も、そのほとんどが抑揚を欲する日常を生きていて、それにも飽きていて、何かひと匙の味が欲しくて映画を見る。同じ時間が流れていることなど百も承知。時間を映像で切り取ることで、何を生み出したかったのか。この映画からは一切何も飛び込んでこない。
うっすら伝えたいことはもちろんわかる。本当に、それ以外に何が言いたかった??
ファッションにしていいテーマでは当然ないから、こちらも真剣に臨んだのが違ったのかな。
”なんとなくここでこんな感じで”表されたもの以外の、「今僕らはこれをやらなくちゃいけないんだ」という姿勢を、少しでも感じたかった。
*当然、ドイツ人でもユダヤ人でもないという立場だから言えること。我々に置き換えた時に同じ中身で同じ言葉は言えないだろう。