田山信行

ペナルティループの田山信行のレビュー・感想・評価

ペナルティループ(2024年製作の映画)
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最近ループもの流行ってるのかな?
大概そのループから抜け出すのが主題となるが、本作は憎き相手を何度でも殺す為に望んで繰り返すループ、という新たなアプローチ。

実際と変わらぬ感覚を得られるそれはもう仮想ではなくて現実そのものに他ならないのではないのか。ループによるリセットが効くのは仮想たるそれだが。だったら禁忌を犯しても良いものなのか?

現実と見紛うほどのVRは実現してはいないがそれが実現したとして、実際と遜色ないレベルに引き上げられた体感によってもたらさせるものは良き人間性への回帰であるのか。終盤になるにつれ外界と途絶された仮想であるということが重くのしかかる。相反する感情の揺れ動く様が笑いも交えて描かれているのが面白い。何が現実かという観点も揺らいでいく。

今やもう一方の現実と化しつつあるSNSにおいても他人を叩くことが無限に続いている。その様相を見ていると決してなくはないなと思えてしまう薄ら寒さがある。実感を得られる程ではないにせよ心象的には随分と禁忌を犯しているのではないか我々は。

何度も殺される死刑囚役が伊勢谷友介というのもニクい配役であり現実にリンクする具合がまた。狙ってかは分からないが。

救済の制度の割には融通の効かなさがどうなんだ。
田山信行

田山信行