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裸足になってのanemoneのレビュー・感想・評価

裸足になって(2022年製作の映画)
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リナ・クードリが素晴らしい。
痛々しくも、力強く、反骨精神に満ち溢れたあの眼差し。
バレエ初心者にも関わらず、背中を柔らかく使っていてしなやか。

傷ついた女性たちの踊るコンテンポラリーは、叫びで、祈りで、慟哭
岩場で踊るフーリアの動きには、まるで岩や砂、海、草木、自然のエネルギーを足の裏から吸収したかのような喜びを感じる。

きっと踊っている間、海のうねりと、塩と溶け合ったソニアのことも感じていたはず。
いつかあの海に、あなたを探しに行くわ。
"天使のように、あなたは冬の間眠るだろう"

ポップスに合わせてセルフィーを撮るバレエ少女たちの、舞台袖でクスクス笑っていたり、チュチュで螺旋階段を駆け降りたりする姿に、バレエの発表会前を思い出す。

アルジェリアの重苦しい抑圧と、その夜明け。あんなにも美しい雨が降ることを、海の輝きを持った国であることを忘れないでいたい。

子供を亡くした女性が、池に佇む石像に自分のネックレスを掛けるシーンで、“好きにさせてあげて"と声をかけるハリマ
その行為が安全だと知っていて、はじめてできる対応だから、よく彼女のことを見ているんだなと思う。

絶望したフーリアの顔に降り注ぐ雨がただただ美しい。鳥、海、熱帯雨林の木々
プレイリストムービーのように、地中海音楽が自然と、彩光と融合する
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