アメリカの作家、ウィリアム・バロウズ著『裸のランチ』を映画化した作品、ではあるけれど、内容に忠実に即したものではなく、多分にクローネンバーグのアイデアが盛り込まれているとのこと。
簡単に言うと、内容は「ジャンキーの悪夢」である。
ゴキブリ駆除剤で飛んだかと思えば、医師から勧められた黒い粉でも飛び、アラブのような変な街に忍び込み、作家の商売道具であるはずのタイプライターは毒々しい虫に形を変え、同じくジャンキーの嫁を銃で撃ち殺し、それでも『裸のランチ』という作品を書き進めるという、なんだか凄い内容なのである。
それだけでも凄いのだけど、クローネンバーグの、悪夢の描き方が半端なく気持ち悪い。
特にタイプライターがゴキブリみたいな大きな羽虫に描かれるのだが、グチャグチャネチャネチャ、まー、気持ち悪い。気持ち悪過ぎて、笑いが止まらなくなるほどだ。
ただ、その気持ち悪さが、次第に変な心地良さに変わるから、クローネンバーグの映画は凄いと思う。
(私だけ…?)
ちなみにバロウズは、実際にジャンキーで、嫁を銃で撃ち殺し、ゴキブリ駆除の仕事もしていたらしく、『裸のランチ』は彼の半自伝的作品と言われている。
映画を観て、原作も読んでみたくなった。グロ映画好きの方には是非オススメです。