HAYATO

哀れなるものたちのHAYATOのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.4
2024年34本目 
第96回アカデミー賞で計11部門にノミネートされた話題作
スコットランドの作家・アラスター・グレイ原作の小説を、トニー・マクナマラが脚色し、奇才・ヨルゴス・ランティモスがエマ・ストーンを主演に迎えて実写映画化
『女王陛下のお気に入り』の3人が集結。
天才外科医のバクスターの手によって胎児の脳を移植されたベラが、「世界を自分の目で見たい」という強い欲望に駆られ、弁護士のダンカンと共に大陸横断の旅に出るお話。
『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーン、『はじまりのうた』のマーク・ラファロ、『プラトーン』のウィレム・デフォーというMARVELの香りがする3人のスター俳優が共演。
ドゥニ・ヴィルヌーヴと同じくらい名前の響きが好きな監督の新作がついに日本公開。
本作に向けて鑑賞した『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』と『ロブスター』同様、摩訶不思議で奇天烈な設定のもとで、様々な社会規範を風刺し、嘲笑するセンスが冴え渡っている。
近年流行りのフェミニズム映画としては極めて異質なストーリーであり、幻想と現実の境目にいるような不思議な感覚に陥る。
文字通り“0”からのスタートであったベラが、世界を旅して色々な経験をしたことで、自己のアイデンティティを見出す様は、『バービー』と多少なりとも重なる部分があるのかな。
ショーナ・ヒースとジェームズ・プライスによるプロダクションデザインは、外形的な美しさもさることながら、ベラの行く先々での成長や感情の変化を描く上で、ものすごく重要な役割を果たしている。
ジャースキン・フェンドリックスが手がけた音楽も非常に独創的でこれまで聞いたこともないような音色であり、未知の世界に飛び出すベラと同じような気分にさせてくれる。
個人的には、”I Just Hope She’s Alright”と“Bella”が特にお気に入り。
エマ・ストーンの身体を張った演技はすごいとしか言いようがなく、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞するのも納得のパフォーマンスで、35歳という若さでとんでもないキャリアを積んでいるなあと改めて思う。
予告編から楽しみにしていたエマ・ストーンのヘンテコダンス、ウィレム・デフォーの不気味な特殊メイク、マーク・ラファロの「Ow」全て大満足。
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