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哀れなるものたちのanemoneのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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十二単を着た美しい奇人
風に靡く長い黒髪と、ドレスの裾を引き摺りながら歩くその姿に、なぜか平安貴族の様な風格を感じた。

私が迷い込んだのは、魔宮というワンダーランド。
大事な娘から愛人へ、娼婦を経て誰かの妻、一人の人間へとアリス(ベラ)は不思議な穴を堕ちてゆく。

胎児の脳で吸収し、私のものだとばかりに、性を体いっぱいに味わい尽くす。行き着く先は、バービー や空気人形にも通じるものがある。

アール・ヌーヴォー、アール・デコ様式の建築物たちが魅惑的。どの都市も独創的
特にパリの退廃的かつデコラティブな装飾が美しい。
シーンとして印象的なのはアレクサンドリア。黄金の宮殿の階段は、下界に降りることを許さない。
美しい黒人男性ハリーは、下に堕ちれば自分が物乞う人になることを教える。自分が差別される立場でなく、差別する側に回りうることを、覚えておいて下さいと言った大学の教授を思い出した。
彼らを臆病な少年と凌駕してしまうベラ。

とてもダークでエロティック。グロテスクで恥美な美術たちは、まるで岡上淑子さんのコラージュみたい。
(ヒグチユウコさんが描きそうな世界でもあるなと思っていたら、パンフレットの挿絵を担当されていた。)
ヴィクトリア朝風のドレスを、ランジェリーとミックスさせたり、エキセントリックな尖った装飾や大きなパフスリーブをあしらっていて衣装も面白い。


〜衣装語り〜









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