SJ

哀れなるものたちのSJのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
橋から身を投げた妊婦が天才外科医によって胎児の脳を移植され蘇る。
ヨルゴスランティモス監督、またとんでもない設定を…。

言葉、歩き方、性の悦びを知ったベラは外の世界に興味を持ち、冒険にでる。
ベラの好奇心が解放されたようにモノクロだった世界に色がつき、ベラの探究心は止められない。そんな彼女を、男たちは閉じこめコントロールしようとする。

人体実験の産物だったベラが知りたいもの、事を掴み取っていく強さと本能に忠実に成長していく姿は憧れてしまう程魅力的だった。
そして命わずかなゴッドにかけた「怒り、混乱、矛盾を超え寂しかった」という言葉。
最後まで社会の良識に囚われず自分の心に正直だったベラは強く、美しい。

何にも支配されず生きようとするベラを支配しようとする男達の滑稽さはまさに哀れなるもの。
ダンカンとのダンスフロアでのやり取りはとくに解放と支配欲を表していて素晴らしかった。
奇妙な物語なのに、観終わった後自由に生きることを肯定してくれているようで生きる意欲が湧いてくる作品。
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