幽斎

ダーク・シスター 殺人の手引きの幽斎のレビュー・感想・評価

3.0
C級スリラー(ホラー)をレビューする、Scavengerシリーズ第34界。原題「Sororal」キタ、英単語に無い奴。フォーマルな形容詞で「姉妹の様な」又は姉妹の特徴、見れば分る(笑)。AmazonPrimeVideoで0円鑑賞。

アメリカで劇場公開された訳でもTVムービーでも無い謎映画をしっかり仕入れる日本のトランスワールドアソシエイツは優秀なのか無能なのか未だ解らない。本作は配信で垂れ流すタイミンクでタイトルを「Dark Sister」変更。原題がスリラー的に言えば盛大にネタバレで、誰かに怒られたのだろう。作品の内容はFilmarksのあらすじに隅から隅までずずいーっと書いてるので、私から申し上げる事は何もない。

アメリカではイタリア発祥のホラーが再ブームの兆しが有り、スリラー界隈でも「ネオ・ジャッロ」謎のフレーズが横行。最近でも「ダークグラス」本家Dario Argento監督が最新作を発表する等、スリラーとの融合が世代を超えて愛されるのは嬉しい。本作の様な正体不明映画でも、Argentoを随所にリスペクト、と言うか手法を真似た、恣意的に色彩のコントラストを強調したり「アレ、Goblinかな?」プログレ・サウンドを流す等、悪く言えばオリジナリティに欠ける。一方でオープニングのアート作品もプログレッシブで印象に残った。中身は横に置いてフレームの画角など、監督のセンスも感じる。

主演Amanda Woodhamsは短編を含めると16作品に出演してるが、勿論日本では初お目見え。設定はアート作家だが、此処でも描くスタイルは「サスペリア」的な雰囲気で悪くないが、見た目をジャッロに揃えたが、肝心のストーリィが本家の様にテンポよく進まず、私もマンションの光ケーブルのトラブルかな?思う位、遅々として話が進まない。96分と普通のハリウッド映画なら標準時でも、本作の遅延具合は京都の市バスより悪い(笑)。本家ジャッロも回りくどい演出は有るが、悪い所を真似る必要はない。

Sam Barrett監督はオーストラリア人、だから私もノーマークだが、母国では短編を中心に結構作品は撮っており、俳優出身らしくライティングとか美術の小道具など、ジャッロを良い意味でリスペクト、Dario ArgentoやMario Bavaの流れを汲むイントロダクションは悪くない。犯人当てにイギリスの様な起承転結を無視、ミステリーで言うイリーガルな展開に持ち込むので、余り目くじらを立てても大人気ない。

暗くて陰鬱な展開が続くが、後半に為ると変化球の乱れ打ちで、SFとか超能力まで飛び出すので、眠い気持ちを堪えて最後まで見れば「ナルホドね」と言うオチには辿り着く。奇妙奇天烈なラストだけはジャッロの模倣から離れ、オーストラリア魂を魅せられた。ネオ・ジャッロを試しに見たい方は悪くないチョイスかも、かもです(笑)。

観光客激増の京都のタクシーのノロノロ運転が苦に為らない方は、暇潰しに為るかも。
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