この手のSF映画は作り込みや設定の甘さで酷評をすることが多いのだが、設定や作り込みが甘いのに許せてしまう不思議な感じ。どこかゲームで観たことあるようなシーンもあれば、アメリカ人の思うアジア観の雑さも目立つ...なのにいちいちそれにツッコミを入れたくないくらい、素直に面白かった。
予告を観ただけでは、よくある暴走するAIvs人間ものかと思っていたが、どちらかというとAI禁止の西側諸国vsAI擁護のアジア諸国の戦い。しかも悪者は西側諸国という、アメリカ映画らしからぬ展開。(ちなみに日本は西側諸国の仲間に入れてもらえず)
SF映画ってのは、どこかあり得そうな世界観であるのが大事なのだが、この世界情勢の作り込み方はその点であっぱれだと思う。日本語のフォントがおかしかったり、ロボットがチベット僧になってるのが受け入れられないという人もいるかもしれないが、引いた目でみた世界観のあり得そうな感じがそれを受け入れさせてくれたのだと思う。むしろ変な日本語が楽しみポイントにすらなった。
そんなことよりこの映画、たった50万円程度のカメラ機材で撮影された低予算映画らしいのだが、映像のクオリティが高すぎて未だに信じられないでいる。
【余談】
たまたまこの情勢ということもあり、かなりイスラエルガザ問題と重なる所が苦しかった。AIが誤ってロスで核を爆発させたから西側諸国にとってAIが脅威というのは分かるが、そのAIを取り除くためなら多くの子供や民間人の住む地域を爆撃するのは仕方のないことのように振る舞う西側諸国...これでいいのかと考えさせられる。