華麗なる加齢臭

パッチギ!の華麗なる加齢臭のレビュー・感想・評価

パッチギ!(2004年製作の映画)
4.7
久々に観た。不思議なことに前回観た時よりも、数倍面白かった。

セリフの中に、製作者の、「在日」というマイノリティに関し「日本人として知っていてほしい」強いメッセージや当時の状況説明が、数多く含まれている。

時代背景から言えば、北朝鮮・総連が伝える「地上の楽園」という言葉がまだ輝きを持っていたのだろう。でも、笹野 高史演ずる朝鮮部落の長老が民団・韓国の見解を伝え、日本における在日のコミュニティにも「対立」があったことがうかがえる。
また、端役であっても金太郎が独裁下の韓国の港町、釜山からの密入国者であったりと、在日コミュニティの複雑さを感じ取ることが出来る。様々な背景が作用し、決して単純にな語れない在日のコミュニティは「焼肉ドラゴン」でも同様に伝わってきた。

そうそう、「イムジン河」は発売禁止になった経過も、リアルに伝えてくれる。

どれ一つとっても、それだけで映画一本作れそうなメッセージや状況が詰め込まれている。その土台に乗っかった青春群像劇だ。正直、消化不良になるかもしれない。しかし、それは同時に、期間を置けば何度見ても発見があり、そして製作者の想いが伝わることが出来る作品でもある。