ヤノ

トルテュ島の遭難者たち 4Kレストアのヤノのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

カリブ海のフランス領海外県グアドループ。着いてすぐ空港入り口の売店で絵葉書を探すというシーンの旅情が異常。リゾートシャツに旅行カバン、路線バスに気だるそうな荷物運びの若者たち。毛皮のギャルにギターケース片手のヒッピーカップル。彼女の方はその自由な生き方に疲れてきているというあるある描写も撮りこぼしてはいない。

過酷なサバイバルの様相を呈してきた中盤にも、優雅にビーチで着るはずだったワンピースを着ているメンバーがいる。状況と服が合っていないというこの描写は、旅行の荷物には限りがあるのだということを伝えている。

帆船と見せかけて汽船だったというイカサマ船の上で迎えた朝、コーヒーとカフェオレボウルが出てきたシーンの旅の安堵。

世界の辺境まで来てしまったと思ったら実はすぐ先に集落がありガンガン車が走っているといった所在地不明の勘違いも旅先でよく起きる出来事だ。

自由奔放で無軌道なヴァカンス映画のふりをして、人が本当に旅行に求めるものは何かを問いかけてくる映画だった。
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