いの

悪は存在しないのいののレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.7
そのような言葉が存在するのかどうかわからないけど、映画の身体性が見事に表現されていると感じた。演者の身体性というのとは違くて、映画がもつ身体性。静寂な映画で大声を出すのがそぐわないような映画なのに、映画の身体性が高く、そして見事に跳躍する。それをスクリーンで体感できるのは本当にありがたいことだ。ラストなんて超すばらしいですね。青と緑が幻想的に溶け合うような空間、その一方で行われていること。エンドクレジットの短さもあっぱれ。


豊饒な光と色彩、そのなかに潜んでいる残酷さ。冒頭、カメラは前進しながら真上の木々を映していく。それがあまりに長く続くと、真上から正面へとカメラが移動しているようにも感じられるし、なんだか自分の視点の感覚がぐらぐらしてしまって不安になる。シームレスとは真逆のブツ切れカットにも不穏さが潜む。


木々を横移動でずっと映していく場面では、『1Q84』のビッグブラザーやリトルピープルを思いだしてしまって、みおわったあともやっぱりどこか繋がっているように感じてしまう。それから監督が「PASSION」のころから描いてきた、人の心に内在する暴力についての追究が監督の心のうちに連綿と続いているように感じた次第


 :::


ハッピーアワーの演者さん、3人はわかりました。皆さんお元気でしたか?と語りかけたくなる。特に、あのとき後輩の看護師さん役だった方の活躍もうれしかったなー
いの

いの