そんな感じ

悪は存在しないのそんな感じのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
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悪は存在しない
話題になっていたので見てみた。すごく衝撃的なラスト。頭が追いつかないよ〜と思いながらのエンディング。
パレオな男さんはこの映画のタイトルを自然の寓意だと言っていたけど、本当にその通りだと思った。
手負いの鹿は、巧でもあり、自然でもあり、私自身でもあるのかもしれない。これは君の話になるとポスターに書かれているように、これは私の話になるし、なるようにされている。すごく抽象度の高い次元での計算を物語として落とし込んだ映像として監督のセンスが光っていると感じた。

しかし、森の木々はまるで人の血液のようにしか見えない。最初のシーンで森の木々を長く映しており、はじめは葉を沢山つけた木々を映して最後になると葉が落ちた木々を映していた。

あと田舎で生活する人は普通に疲れないのかな?と思ったけど(薪割りとか歩きとか)自然の綺麗さや美しさにそんな気持ちもどこかにいってしまうのかもしれないとか思った。でも多分だけど普通に疲れそう。人は楽するために疲れることを仕事にするし、機械に任せる。逆に、機械に任せられない仕事はすごく大変だし、仕事にならない作業もすごく大変だろうと思った!!

はなちゃんは最後に手負いの鹿に殺された、そして、殺されることを巧は望んだ、巧は殺されるはなちゃんを守ろうとした高橋を殺した。そこで浮かぶのはなぜ巧ははなちゃんが殺されることを望んだのか?そしてなぜ高橋まで殺さなければならなかったのか?ということだ。これもまたパレオな男さんが言っていたように巧が壊れたバランスを治すためなのかもしれない。

なんだろう、すごく怖かった。全体を通して不穏で、生きることのしんどさみたいなものを、自然の恐ろしさみたいなものを感じた。私も手負いの鹿になってしまうのだろうか、または、すでになっているのだろうか、または、鹿を殺そうとしているのだろうか、または、鹿を殺してしまったのだろうか、鹿、鹿、鹿、通る道を失った鹿はどこを通るのか、人間に慣れていない鹿はどんな菌をもっているのか、手負いの鹿はどんな攻撃にでるのか、鹿の水飲み場は潰されてしまったらどうなるのだろうか、、ああ、なんだろう、分からなさすぎて、すごく良い、すごく、すごく、良い
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