リコリス

悪は存在しないのリコリスのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.4
やはり後味悪い。救いがない。

出だしの樹木を下から見上げる映像に不気味な環境音楽、ブチッ。狭い共同体で、どうやって暮らしを成立させてるのか大半の人々が不明の住民。明らかに無責任だがコロナ禍生活のため、次第に人間らしく見え出すグランピング推進側。

住民側も自然に寄り添うわけでもなく(タバコ)、むしろ人工的な「丁寧な」生活。鹿が生活地に下りれば殺生。

人間がいない風景は目を引く美しさ。それがいきなり。。。暴力を発揮するのは、常に人間側。グランピング推進経営者やコンサルみたいに分かりやすい小悪より、巧みたいに理由もなく暴発…が怖い。そもそも理由があればアレで良いのか。
説明が欲しいから、沢山の解釈がネットにも流れているが、(娘の命と等価交換で自然を抑える、のに耐えられず、娘の代償の高橋を…とか神話解釈)、結局、分からないものは分からない。

人生には、そういう薄気味悪く胸糞悪い不条理が、大なり小なり繰り返し襲って来ては忘却して。時間が包帯。
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