aikido

ぼくは君たちを憎まないことにしたのaikidoのレビュー・感想・評価

3.0
実話ということで鑑賞しましたが、テロにより突然妻を失ったアントワーヌの苦悩や葛藤、彼も普通の人間である為、周りの人や家族にも当たるし、憎しみに支配されそうになったりと、人はそんなに強くなく、怒りや憎しみを抱えながら少しずつ前に進んでいかなければならない彼の感情にフォーカスした起承転結がはっきりしない作品で、映画というよりもドキュメンタリーを観ているなといった映画でした。
また、テロを許さないけれども憎まないといったメッセージを発信したことにより、注目されますが、その裏側では、聖人君子や英雄ではなく、彼も普通の人間で、悩み、葛藤し、怒りや憎しみを必死に抑えながら生きていることがよく分かる心情描写のリアルさが凄まじく、人間はそんなに強くなれないよなとまざまざと見せつけられ、鑑賞するのがしんどいリアリティーさも圧巻でした。

面白いとか面白くないといった評価がしづらい非常に難しい映画で、一人の人間の感情に徹底的にフォーカスしたドキュメンタリーを自分に置き換えたら彼と同じ選択ができるだろうか、自分ならどうするか、非常に考えさせられるメッセージ性の強い作品でした。
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